彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

JASRACから歌詞の引用が著作権法違反だとクレームがきたんですけど

私のブログでは、主にフジファブリックの歌詞を引用して、解釈などについて論じることがありますが、これについて、今日、はてなブログの運営を通じてJASRACから「著作権侵害なので削除せよ」というクレームがきました。

 

 

しかし、私は、歌詞を引用するにあたっては、どういう場合なら法律上、著作権者の許可を得ずとも引用ができるのか、結構かなり、調べた上で引用をしています。なので、

 

もし、私が(大好きなフジファブリックの)権利を侵害しているのであれば、もちろん速攻でやめますから、どこがダメなのか、どうすればいいのか、具体的に教えてください

 

という返事を送りました。

具体的には以下のとおりです。

 

2月上旬に、mixiとはてなで、少しでも歌詞を引用しているブログには一斉にこのようなクレームが来ているようです。ロボットで収集したエントリーに自動的にこのようなクレームを送信しているようなので、クレームを受けたものの中には、著作権法上、適法な引用のものも多く含まれているのではないかと思います。どなたかの参考になれば幸いと思い、掲載することにしました。

 

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はてなサポート窓口 

法務関連担当 ●●様
 
ご連絡をありがとうございます。
さて、ご指摘のエントリーは、ロックバンド等の歌詞を引用して批評をするものですが、これらは、著作権法第32条の公正な慣行に合致する引用であると考えております。そのように考える根拠を下記に示しますが、私としては、権利侵害行為をする意図は全くないので、私の考えのどこが間違っているか(あるいは適法な引用とするために修正を要する箇所はどこなのか)、JASRACに具体的にご指摘いただきたいと考えております。簡単に済むやりとりでない場合は、●●様を挟むのではなく、私が直接やりとりをするのでもかまいません。
 
お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
著作権法第32条が定める適法な引用となる要件については、①明瞭区別性と、②主従関係の二つが必要であると解されています(最判昭和55.3.28民集34巻3号244頁)。
 
私のエントリーは、歌詞部分は、すべて、はてなブログに実装されている引用のための機能を使用して記載するか、フォントの色を変えて表示しているので、①の要件を満たすことは明らかです。
 
次に、②の要件は、「両著作物の関係を、引用の目的、両著作物のそれぞれの性質、内容及び分量並びに被引用著作物の採録の方法、態様などの諸点に亘って確定した事実関係に基づき…引用著作物が全体の中で主体性を保持し、被引用著作物が…引用著作物に対し付従的な性質を有しているにすぎないと認められるかどうかを判断して決すべき」ものとされています(東京高判昭和60.10.17無体例集17巻3号462頁)。
 
この点、私のエントリーの目的は、①引用している歌詞の批評、解釈か、②ライブの感想のなかで演奏された曲についての批評です。まさに、著作権法32条に明記されている目的です。
 
次に、分量についてですが、2017年2月5日のエントリーが「COLORS」の歌詞について批評していますが、私が書いたブログの文章が808文字、引用している歌詞が212文字です。2016年3月25日のエントリーは「記念写真」の歌詞について批評をしていますが、私が書いたブログの文章が624文字、引用している歌詞が133文字です。2015年7月25日のエントリーは「Time」の歌詞について批評をしていますが、私が書いたブログの文章が509文字、引用している歌詞が246文字です。そのほかのエントリーも含め、歌詞を引用しているエントリーにおいては、私の書いた文章又は写真のほうが量が多く、引用は適正な分量だと考えます。また、ライブの感想の中で引用されている歌詞に至っては、私が書いたブログの文章が圧倒的に分量としては多くなっています
 
採録の方法、態様も、著作物の同一性を害したり、改変したり、著作権人格権を侵害する態様ではありません。
 
また、引用する歌詞すべてについて批評を行っており、批評に必要な範囲で引用をしていることも明らかです。
 
以上より、私のブログのエントリーは、私が記載をしたブログの文章が主体性を保持していおり、引用している歌詞が従であり、②の要件も満たしていると考えます。
 
なお、加戸守行『著作権法逐条講義〔六訂新版〕』267頁(公益社団法人著作権情報センター,2013)が「音楽作品の小説への引用の場合には、(―社)音楽著作権協会と(公社)日本文藝家協会との間において覚書が交換され、例えば歌詞の1節以内であれば許諾を求める必要がないこととされていますが、それは、実務的な処理に関する両当事者間の合意であって、本項の解釈を左右するものではありません。実際問題として、ケースによっては、1節を超えても引用可能の場合もあるし、逆に1節以内でも引用できない場合がありましょう。」と述べているとおり、引用している歌詞が1節を超えているので主従関係がない、というのは全く理由になりません。
 
これらの理由から、私のブログのエントリーは、著作権法32条に基づく引用として、著作権を侵害しないと考えております。
 
以上