彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

C-C-B「Romanticが止まらない」 バンドが歌う歌謡曲

1980年代に数々の大ヒットを飛ばしたC-C-Bのベースでリーダーだった渡辺英樹さんが、急性大動脈流解離による多臓器不全のため、お亡くなりになりました。享年55歳。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

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C-C-Bの曲で一番有名なのは、最初のヒット曲となった「Romanticが止まらない」 でしょう。

 

Romanticが止まらない

Romanticが止まらない

 

 

C-C-Bの結成経緯は、プロ・インタビュアー吉田豪氏によれば、こうです。

 

吉田:要はビーチボーイズ路線だとメジャーデビューできるって言われて、まあいい感じで騙されたんですよね。そしたら、話に乗ったらシングルの発売日に事務所をクビになって。

で、その後マネージメントを依頼した事務所には金を持ち逃げされて。で、CMソングが、シングル2枚出てるんですけど、どっちもCMソングになったりで、売れてしかるべき状況だったんですけど。『それでなにがしかのギャラは発生していると思うんですけど、お金をもらった記憶がないです』っていうね。(bayfm の番組「with you」にて)

 

そんなこんなの末、作詞松本隆、作曲筒美京平の曲で売り出されたのが「Romanticが止まらない」です。これが爆発的なヒットとなったため、その後も、彼らは自分たちの作詞作曲した曲ではなく、松本・筒美コンビの楽曲をしばらく出し続けます。しかも、売り方はアイドルっぽかったので、当人たちの葛藤は激しいものがあったことでしょう。

 

しかし、そういったことを一旦脇に置いて眺めると、この松本・筒美コンビの楽曲は、実に名曲ぞろいなのです。

 

長いキッスの途中で(Fu Fu さりげなく)

首飾りを外した(Fu Fu 指先で)

友達の 領域から

はみだした 君の青い ハイヒール

 

時はバブルを迎えようとしています。友達同士だった男女が、何気なくキスをし、彼女はネックレスを外して、その先に進んでもいいというサインを示す。または、男がネックレスを外して、彼女を促す。

 

誰かRomantic 止めてRomantic

胸が 胸が 苦しくなる

惑う瞳に 甘く溺れて

Hold me tight せつなさは 止まらない

 

Romantic、などと言っているけど、要は、情欲。

 

壁のラジオ 絞って(Fu Fu しどけなく)

遊びなのと聞いたね(Fu Fu ささやいて)

言葉では 答えない

抱いた手に 力こめる Tonight

 

私とのことは遊びなのと、一時の情事に過ぎないのかと、彼女がささやくと、男は答えず、ただ黙って抱きかえす。

 

なんという常套手段。

 

まあ、このあたり、いつの時代も変わらないものです。

友達だけどセックスしちゃって、でも今後どうなるのかな一体・・・・?という、非常にありがちなシチュエーションを、きれいな言葉で、しかも小学生(私)さえ口ずさんでしまうようなキャッチ―なメロディーにのせて歌い上げたのがこの「Romanticが止まらない」 なのです。まさに歌謡曲。

 

他にも、C-C-Bが歌った松本・筒美コンビのものでは、「Lucky Chanceをもう一度」「スクールガール」「空想Kiss」なども名曲です。今聴きかえしても、80年代の空気そのものの曲だなと感じます。