フジフブリックの「BOYS」に収録されている、作詞加藤慎一、作曲金澤ダイスケの曲。
加藤さんがダイちゃんにインタビューして、ダイちゃんのゴールキーパー時代のエピソードから着想を得て描いた歌詞は、まさに「少年期」の想い出のような物語。
数日前に転んでできた
痛くて疼く 小さな勲章
眺めているとまるで一つの
島のように街のように
小さな勲章とは、その名もかさぶタウン。カサブタのことをこんなに抒情的に表現できるとは、さすが加藤さんです。
君を想ってる間に 膨らみ続けて
次第に重なりあってた
剥がして終わるのは 寂しくなるから
まだまだこれから これから
この曲で連想した漫画があります。
「居眠りしながらよだれ垂らしてる女の子ってかわいいと思いませんか?」がキャッチフレーズのこの(あやうい)漫画は、「椿くん・・・あなたが わたしの―― 生まれて初めてのSEXの相手となる男の子だーーって」といきなりヒロインに主人公が告白されつつも、結局、12巻かけてキス一つしないで終わりました。12巻の後書きで作者が次のように述べています。
10代の思春期はむしろ何も起こらないつまらない日々だったからこそ
輝いていたのではないかと
10代の頃を思い出して確信するようになり
結果、キスすらしないラストとなりました。
10年間描いているうちに考えが変わったんですね
この曲からも、そういう穏やかな、小さなことに喜んだりショックを受けたりする少年時代のイメージを感じます。
が、しかし。
古い教室 窓辺に二人
小さな恋でもうまれちゃうかな
空見る男子 そのすぐ横に
見透かした女の子
「ぼんやりは素敵だけれど
なにを思うかであなたが変わるよ」
優しく彼女が言ったよ 静かに
なんですかこの大人っぽい彼女は。
いくらなんでも大人すぎるでしょー。
まさに加藤さんが言われそうなセリフではありますが。
悔しいけれど何か すっきりしたかな
心のバネが揺れる
図星だったということでしょうか。
最後、種明かしがあるんですね、この歌は。
ここは、あえて種明かしをしない、という選択肢もあったのではないかな、とは思いました。
「笑い飛ばして しまいましょう」と言いつつも、彼女のこの台詞は歌い手の胸の奥にずっと仕舞い込まれている気配があります。そんなところも「BOYS」でしょうか。
ダイちゃんのつくる鍵盤の優しいメロディーに、加藤さんの優しい歌詞がのった一曲。