作詞加藤慎一、作曲金澤ダイスケの手になる一曲。「ダンスナンバー」というコンセプトで作られたEP 「FAB STEP」に収録されている(その後アルバム「LIFE」にも収録)。よくあるタイプのダンスナンバーとは一味違う雰囲気。ていうかこれはダンスナンバーというカテゴリーなんですかね?
フジファブリックの中でおそらく一番読書家であろう加藤慎一の描く詞は、掛け言葉を多用した、言葉遊び的なものが多いが、この曲では至極真面目にラブソングを成立させている。
1,2,3 フォルテして行くのは
エンジンの鼓動 今も僕の
想像がよくない方になってく
しんどいな離れてくようで
これから車で二人が向かう先で別れ話がおこりそうな予感。
忙しい日々の中で ごまかしていた
失いそうな予感が 膨らんだ
彼女を放置していて振られそう・・・・といったところか。これは男が悪いパターンですね!(断定)
どれくらい どのくらい 素直になれるかな
言えるのかな? 二人どうなるかな?
つたない言葉 伝えられたら何か
見えるのかな? 二人どうなるかな?
僕らいつもこうやって 傷つくのが怖くて
繰り返すんだ 結局 傷つけてしまうんだ
「結局 傷つけてしまうんだ」って、逆切れするんですかね?
まあ、リアルな(そしてありがちな)男女のワンシーンですが、チャンダイ先生の奏でるシンセの美しいリズムと相まって、なかなか静謐でありながら印象的な曲に仕上がっています。個人的には間奏部分の鍵盤がすごく好きです。大人っぽい。また、歌詞に「思ったより冷たい手 なんかが好きだった」というフレーズがあり、その言葉と、寄せては返す波のように繰り返されるキーボードのリフの温度感がとても合っています。スミス監督によるMV(キノコ頭の綺麗な女の子が出てくる。チャンダイ先生はドミノ倒しをしている)もよい感じ。
それにしても・・・・3人体制になってからのフジファブリックは、「自分と向き合う」とか「過去を踏まえて歩き始める」とか「壁をぶち破る」とか「再生する」とかそういう方面の曲はなかなかいいんですが、ラブソングの方面においては圧倒的に色気が不足しています。マンガでいったら少年ジャンプ路線。しむしむの歌詞は、ポップな谷崎純一郎というか、変態的で色気があってよかったんですけども。山内総一郎氏は実体験からしか歌詞が描けないというので、今後の彼の私生活次第ということになるのかもしれず、だとすると期待薄なんですよね・・・・まだまだしばらく、音楽のことしか考えられない時期が続きそうなんで。だとすると加藤さん頼みか(あれ、チャンダイ先生は・・・・・)。
むむ。