4月17日に新木場STUDIO COASTで行われた、雑誌「音楽と人」が主催するイベント「東京アコースティック百景」に行ってきました。
出演するのは、山崎まさよし、佐藤千亜紀(きのこ帝国)、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)、そしてフジファブリックの山内総一郎です。
私にとっては、今年初の、生山総です。
新木場STUDIO COASTの雰囲気
新木場STUDIO COASTは、住所でいうと東京都江東区にあります。夢の島公園の近くです。つまり何もない。ふきっさらしの埋め立て地に建つ倉庫のような建物。それが新木場 COASTです。
駅から橋を渡っていくのですが、そこからは東京湾を挟んで遠くに東京タワーが見えます。なにもない感じが、なかなかいい雰囲気です。
街中にあるライブハウスも好きですが、こういう、区画の外の、まだ何も始まっていない、ビジネス的には見捨てられてるみたいな場所も、音楽には似合っている気がします。
新木場STUDIO COASTの入口では、チケット係のお兄さんに「誰を観に来ましたか?」と聞かれて、思わず「フジファブリックです!あ・・・山内総一郎さん、です」と答えてしまいました。こういう時って、皆さん、「さん」づけするもんですかね?どうなんでしょ?ブログでも結構、呼び方は迷っています。
山崎まさよしの歌声が心に沁みた
時間になると、するすると幕が開いて、山崎まさよしがスタスタ歩いてきて椅子に座り、唄い始めました。
はやっ!
いつかどこかで 僕が疲れ果てて
一人立ち尽くしてしまった時に
何に思いを委ねればいいのか
今は分からないけれど
(passage)
安定の歌唱力。
生で聴くのは初めてだったのですが、上手だし、言葉が素直に耳に入ってきて、「唄」って感じがしました。また、人柄が声に出てると言うのかなあ。心に沁みました。
彼は、MCでは、「老兵は、ちゃっちゃとやって、若い人の歌を聴いてようと思います」などと、自分がシニアであることをやたら強調していました。確かに、立ってるときはただのおじさん(失礼)なのですが、歌うととてもセクシーです。
やっぱ、歌の上手いシンガーは死ぬまでモテますね。
だってカッコいいもん。
口説かれたら間違いなくいきます(馬鹿)。
セトリは以下のとおり。
passage
名前のない鳥
花火
ツバメ
セロリ
大森元貴くんは皆の弟だった
一人の持ち時間は30分。二人目のアクトは、大森元貴くん(Mrs. GREEN APPLE)でした。正直、名前を聞くのも初めてだったのですが、
「あの!山崎まさよしさんの次に、やるんですよ・・・・超、超緊張しています!口からとんかつが出てきそうなくらいですよ!で、で、皆さん・・・・一曲目、ちょっと、手拍子なんか頂きたいんですが・・・・いいですか?ずうずうしいですか?でも、お願いします!心から!」
という具合に可愛らしく攻めてきたので、もちろん手拍子をしました。
後できいたら、19歳とのことでした。未成年!
歌声は予想外にドラマティックで、でも時々矢野顕子っぽい風情もあって、歌詞はナイーブ。私にはちょっとむず痒いけど、女子中学生の頃だったら惚れていたかもしれません。
佐藤千亜紀ちゃんは癒しだった
三番目のアクトは、きのこ帝国の佐藤千亜紀ちゃん。MCが一番しっかりしていたのは彼女でした。
イベントのサイトに掲載されていた写真だと、きれいなお嬢さん、という感じですが、ジーンズにセーター、髪は一つにまとめただけ、という地味なスタイルで登場。でも、遠目にも顔立ちの整った様子が伺えます。
声は透明感があって、でもヘビーで、歌詞もわりと重めで、この子は何か重いものを抱えていて、それを発散するために音楽を選んだのかなあと思ってしまいました。でも相対的に癒されました。すごくきれいな声ですね、ほんとに。
そして、女の子が大きなアコギを抱えている姿は可愛い。ぐっとくる。
山内総一郎は、またバージョンアップしていました
そして、いよいよ、トリは山内総一郎です。
久しぶりなので、背筋伸ばして聴いちゃいました。めっちゃ集中して聴きました。
そして、ライブが終わって、興奮して呟いたのがこちら。
ブルーの後に、なんか聞きなれないカッコいい曲が始まったわと思ったら桜の季節だった。山内総一郎は歌うギタリストだ。ギターを唄わせてた。
— Manami (@ManamiSinging) 2016年4月17日
山崎まさよし始め、みんなよかったけど、ギターの音色は山内総一郎がダントツでした。歌と同じくらい引き込まれた。歌とギターが緩急つけあってて、ドラマチックに盛り上がる。
— Manami (@ManamiSinging) 2016年4月17日
「楽しんでいきたいと思います」と言って、宣言通り、本人が一番楽しそうにしてた。虹のアウトロで色々試す時の顔つきはまさに悪戯を自慢する少年。陽のエネルギーに満ち満ちてた。
— Manami (@ManamiSinging) 2016年4月17日
桜の季節は、ちょっと昭和のあの雰囲気をアコギでうまくアレンジしてて、曲の解釈がぴったりだと思いました。あのギターはほんとすごい。バンドサウンドじゃないのにすごい迫力だった。
— Manami (@ManamiSinging) 2016年4月17日
これに尽きてるようなものですが、せっかくなので少し振り返ってみたいと思います。
なお、セトリは、
ブルー
桜の季節
LIFE
若者のすべて
虹
でした。
まず、一曲目の「ブルー」で、ステージを山総色で満たしました。何度も聴いてる曲ですが、何度聴いてもあきません。
「こんなふうに、切なく片思いしてくれる男の子が私にもいたらな・・・・」と、ありもしなかった青春を追憶してしまいます。
と、余韻に浸る間もなく、次の曲が始まりました。ライトは赤に変わり、山総はなんだかカッコよくジャカジャカ弾いています。耳慣れないイントロです。なんだろ、なんだろ?と思っていると、山総は歌い始めました。
桜の季節すぎたら
遠くの街に行くのかい?
微かにざわめきましたよ、会場が。
まさか、「桜の季節」だとは!
私のつたない日本語能力では表現しきれないんですが、ギターからあふれ出る音色はキッツい褐色で、桜っていうより血潮の色だわーって思ったのですが(単に照明のせい?)、それが曲のアレンジとしてすごくあっていて、私はもう聴きながら腕に力を入れすぎて痕をつけてしまっていました。
山総も全力で歌っていて、しびれました。
この人は、明るい歌もいいんですが、ちょっと暗い、重めの歌も似合うんですよね。声質は真っ直ぐで素直だけど、烈しさもあるから、何色にも染まることができるのでしょうか。
今日のアコギアレンジの「桜の季節」は、今まで聞いた山総のアコギ曲の中でも、飛びぬけてアレンジが良かったと思いました。
三曲目は、趣をかえて「LIFE」。ダイちゃんのピアノのイントロがなくても、ちゃんと「LIFE」なんだな~って関心しました。途中、間奏部分、速弾きしながら自分でもスキャットしてて、すごいぞすごいぞ、と思っていたら、
「つっかれた!」
と言って、いきなり弾くのをやめました!
自由人だ!
自由。でもなんか自然。
なんなのこの境地!
そしてまた再開。
四曲目は「若者のすべて」。安定の歌いっぷり。何度聴いても綺麗な曲です。そして、バンドサウンドがすべて、アコギ一本で再現されているのに感嘆しました。
最後は「虹」。
「虹」が大好きなんだな、この人は。
この曲が好きで好きでしょうがないっていうのが、イントロの段階から伝わってくるから、こっちも嬉しくなります。
もう空が
持ち上がる
途中、空はしっかり持ち上げました。恥ずかしくてもやる。ここはやりますよ、私も。山総が喜ぶからね。
今日も、沢山の手が挙がっていて、「持ち上がったな~♪」と山総もご機嫌でした。
そしてアウトロ。予想通り爆発しました。
前に出てきて弾く。
煽りながら弾く。
屈んで弾いて、伸びて弾いて、挙句の果てに途中から「セロリ」歌ってました。たぶん即興。
音で遊ぶ楽しさを全身で爆発させているので、それが客席にも伝わって、この日一番の盛り上がりを見せました。
総君は、こんな風に、ステージを一番盛り上げられるパフォーマーになったんだね。
まさに、「士別れて三日 なれば刮目して相待すべし。」
なお、MCは相変わらずで、「今日は、音楽と人っていう雑誌のイベントなんですが・・・・おんひと、って略す人と、おとひとって略す人がいて、僕らはおんひと、って言ってるんですけど、どっちが正しいのかなあと・・・・みなさん、何て言ってます?あれ、言ってないかな・・・・」みたいな感じで、要するにいつもの通りでした。
ともあれ、すごくいいステージを観ることができて、満足です。
取り急ぎのレポは以上です。