ポップでファンクな岡村靖幸のB面は、「哀愁」です。
「彼氏になって優しくなって」のカップリング曲、「ちぎれた夜」は、どこまでも切なく、もの悲しい。
花の名前を知りたくて
君の名を呼んでいる
悲しくても寂しくても
君の名を呼んでみる
ポロローンと、アコースティックギターの調べにのって、縁側に座っているおじいさん靖幸が浮かんでくる。
昔話したおじいさんみたいに 僕らはなれるかな
同じ証を見つける様な 暮らしが出来るかな
歌詞だけ見ると、「ほのぼのしたいい歌じゃん」って思いますか?
聴いていると、とてもそんなメロディーじゃないんですが、やっぱり突き落としてきます。
私のことは忘れてと
君に言われる気がする
叫びたくて泣きたくても
君に言われる気がする
「電話してこないで」
「メールもいいから」
「関わってこないで」
「もう私のことは忘れてください」
・・・・・言った覚えのある女性、いるんじゃないですかね?
私はあります。
そういう場合、それまで、さんざん酷いことしてきたのは男の方なんですよ。
言っても言ってもなおらない。
それですっと冷めて、じゃあもういいわ別々の道を歩きましょってなった後に、捨てられた子犬のような眼で見られても心はもう1ミリも動かない。
そんな場面が浮かびました。
この曲では、歌い手はうすうす予感はしているのです。
どんなに「叫びたくて泣きたくても」、君と、穏やかな暮らしに至ることはないのだろうと。だって、自分を変えることができないから。
だとしたら、独りになって、悲しくて寂しくても、君の名前をつぶやくくらいしか、夜にできることはないのです。
こころがちぎれるような哀愁を感じさせる一曲です。