彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

台風とエレカシと岩淵水門

台風19号から一晩明けて、全国の被害状況が明らかになっています。合計で21もの河川で堤防の決壊が生じたとのことです。一日も早い復旧を心より祈ります。

 

さて、2019年10月13日に伊豆半島に上陸した台風19号は、東京を襲い大雨を降らせましたが、その際隅田川の水位が上昇したため岩淵水門が閉鎖されたというニュースに接しました。

 

 

エレカシと岩淵水門

岩淵水門といえば北区赤羽、

エレファントカシマシ、

「RAINBOW」のジャケット・・・・!

 

RAINBOW(通常盤)

 

エレカシファン以外にはピンとこないと思いますので少し説明すると、エレカシメンバーのうち3人は、東京都北区赤羽の出身であるため(中学校の同級生!)、赤羽は、エレカシファンにとっていわゆる「聖地」です。

そのため、赤羽はプロモーションの写真やMVの舞台になることも多いのですが、その中でも私が一番好きなのは、アルバム「RAINBOW」(2015年11月発売)のジャケットなんですよね。

 

2012年に耳を患ってのち初めてのアルバム。自分は尊敬する高橋恭司氏に撮影をしてほしくて依頼すると、快諾してくれた。デザイナーの服部一成氏は、高橋さんに紹介してもらった。撮影の日は、赤羽公園で待ち合わせして、赤羽の町を最終目的地の岩淵水門まで、高橋さん、服部さんとメンバーで一緒にぶらぶら歩きながら撮影した。

 

「エレファントカシマシ アルバムジャケット写真館」解説:宮本浩次(The Elephant Kashimashi History Photo Book)

 

今より少しひょろっとしたシルエットのミヤジ、軽く柵に腰かけてるポーズが自然なトミ、どこ見てるのかわからない成ちゃん、微妙に見切れてる石くんが、荒川の土手に立っています。40代の男4人が自然体でたたずんでいるだけなのに、その有様がどうしようもなくロックバンドという、素敵な写真だと思います。

 

岩淵水門の役目

「RAINBOW」のジャケット写真の右側にちらっと写っている赤い水門が、旧岩淵水門、通称「赤水門」です。こちらは現在は運用を停止しており、今回閉鎖されたのは新岩淵水門、通称「青水門」です。

 

岩淵水門は、上流からの水が隅田川に流れ込むのをせき止めて、隅田川の氾濫を止めるためのものです。なんでこんな仕組みなんだろう?と興味が出て調べてみたんですが・・・・その結果、知らない事ばかりでした!

東京都民なのにごめんなさい!って感じです。

 

知らなかったことその1。

荒川は人工的に作られた河川だった!

 

私は最初、「隅田川に水が行かないように荒川に水を流すって、荒川はそれでいいのかな・・・」とか浅はかにも思ったんですが、そもそも荒川はそのために作られた河でした。岩淵水門より下流の「荒川」の正式名称は「荒川放水路」。1913年から17年がかりで作り上げた人工の河川なのです。

 

確かに地図でみると、荒川は太いし、比較的ストレートに東京湾に注いでいます。それに比べると、隅田川はうねうねと蛇行していますね。

 

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もともとは隅田川が「荒川」と呼ばれており、その名の通り氾濫ばかりする荒ぶる川だったらしいのです。そのため、江戸時代は、荒川が氾濫したらその水を日本堤と隅田堤から構成されるV字堤防でせき止め、上流地域をいわば水びたしにしておくっていう防災システムだったらしいのですが、それだと上流地域は洪水ばかりだしほんと困りますよね。とどめに、明治43年に浸水27万戸、被害者150万人というとんでもない大洪水が起きてしまい、これをなんとかするために着手されたのが荒川放水路の造成だったのです。つまり、荒川は、そもそもが、隅田川を氾濫させないために作られた河川だったのです。そのために、川幅もとても広くとってあるのですね。

ちなみに、この工事を計画したのは原田貞夫氏というエンジニアです。

 

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ちょっと、RADWINPSの野田くんに似てませんかね?

 

江戸の治水事業

人工的に河川を作っちゃうなんてすごいなあと思っていたのですが、そういうことって江戸時代からやっていたんですね。

 

知らなかったことその2。

利根川も昔は東京湾に注いでいた!

 

いやいや利根川って銚子に注いでるあの川でしょ。

方向だいぶ違うじゃん。

って思ったんですが・・・・・徳川家康が江戸に入府した頃から着手されたそうです。

「家康、江戸を建てる」という本が、このあたりのことを解説してくれています。

 

家康、江戸を建てる (祥伝社文庫)

家康、江戸を建てる (祥伝社文庫)

 

 

軽いテイストの司馬遼太郎という感じの本なので、気軽に読めます。

重機もない時代にあんな大きな川の流れを変えてしまうなんて、凄いとしか言いようがありません。

 

東京は、今回の台風19号をよくも乗り切ったものだと思いましたが、歴史を紐解けば、それは江戸時代から続く数限りない洪水との闘いの上に積み重ねられた対策が実を結んだものだったということがよくわかりました。

 

岩淵水門からだいぶ話が逸れてしまいましたが、いろいろ調べて、勉強になった1日でした。