フジファブリックの最新アルバム「STAND!!」の中に、ちょっと異色の、エレクトリックシタールで始まる曲があります。
リズムにのって総君が声を張り上げて歌うのですが、これがすごく気持ちいい。作詞作曲は山内総一郎。
私は今回、リリース前後にあまり記事などに目を通せなかったのですが、それでもこの曲についてはチラホラ聞こえてくるんですよ。蛙が関係した作詞だと。
蛙・・・・?
公式サイトでは、こんな風に由来について語られています。
幼少時代に祖父の家の近くでよくしていた焚き火の最中、燃え上がる炎を見て興奮したなあ、とふいに思い出したのがきっかけで作った曲。
(「炎の舞」メンバー解説)
焚き火をじーっと見たり、道端で蛙をじーっと見る少年山総。想像がつきます。
そおれ投げ込まれた中で高くジャンピン!!
遊ぼう 遊ぼう 炎の中で
あなたの胸だけに響かせたいメッセージ
夜を超える声で
焚き火のなかに蛙を投げ込んで遊ぶとしたら、かなり猟奇的ですが、おそらくそういうことではなくて、炎のゆらめきと、蛙の飛び跳ねるさまが山総少年の頭のなかで重なり合ったのだと思われます。
さらには。
おれ生かされてる!?感動的じゃないか!!
ここには誇れる愚か者が
プラグイン!!かき鳴らせ 決まっちゃえるならOK
赤く 燃える 焦がす
ジグザグ舞った 火の粉が舞った
落ちてもまだ 踊らされているよう
これは、ステージ上の山総ですね。「蒼い鳥」、「ブルー」のアウトロや、「robologue」の間奏などで、弾きまくり、叩きまくりのメンバーの様が思い浮かびます。まさに、「踊らされているよう」に、子供のころ、炎をずっと見つめているうちに内側に高ぶっていた衝動そのままに、楽器を弾き続ける彼の姿を、私たちは何度も客席から見てきました。
コードのGを弾いて、これだ!と思ったその日から、ひたすらギターを弾きっぱなし。
ちょっとあの、「痛いヤツ」っていうふうに周りに思われるかもしれないんすけど、いまだにずっとギター弾きたいんすよね。弾くのが好きなんです。
これやるために、このまま生きていくために、何をすればいいかって逆に考えて。
(「REAL MUSIC NAKED ~札幌発信の音楽情報WEBマガジン」2017年1月30日山内総一郎インタビュー)
さらに、「STAND!!」ツアーでは、この曲の仮題が「Yellow」だったとか、某バンドのコンサートをメンバー3名で聴きに行き、いわばウケ狙いでデモを持っていったら思いのほか良いと言われ、「それならちゃんとした曲にしなきゃ」ってことでどんどん変えていったことなどが語られています。
複数のレイヤー越しに見る曲の風景は豊かで、「STAND!!」の中でピリッとしたアクセントになっている一曲です。