四季盤の「夏」編。2004年、作詞作曲志村正彦。四季盤は、フジファブリックの原点を語るうえで欠かせないものですが、そのうちの一つ。
志村の詩の夏は、いつも少し感傷的だ。ナオトインティライミみたいなラテン系の夏ではない。
あの街並み 思い出したときに何故だか浮かんだ
英雄気取った 路地裏の僕がぼんやり見えたよ
また そうこうしているうち次から次へと浮かんだ
残像が 胸を締め付ける
まだ「夏」を思わせるコトバは出てこない。でも、演奏を聴くと、湿度の高い、少し汗の匂いのする空気を感じる。
窓からそっと手を出して
やんでた雨に気付いて
慌てて家を飛び出して
そのうち陽が照りつけて
遠くで陽炎が揺れてる 陽炎が揺れてる
テンポはどんどん上がっていき、息苦しいほどに疾走感が増していく。やるせない思いに胸を掻き毟りたくなる。実際には起こらなかった出来事の記憶までも甦るようだ。
詩は抒情的なのに、まぎれもなくロックンロール。志村の楽曲の凄いところだと思う。ロックって、どうしても英語のほうがコトバがのりやすい、という側面もあると思うんだけど、志村の歌はそうじゃない。
フジQでは、トライセラトップスの和田唱が熱唱を披露した。
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そして、その時はギターを弾くだけだった山内総一郎が、10年目の武道館ではフジファブリックのフロントマンとしてこの歌を受け継いだ。ちなみに、山内総一郎が歌う「陽炎」は、郷愁というよりは烈しさを感じさせる。
きっと今では無くなったものもたくさんあるだろう
きっとそれでもあの人は変わらず過ごしているだろう
歌声が変わっても、変わらないものもある。曲に込められた魂がリレーされている。
すごいことじゃない?
志村くん。