彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

ライブ好きの人のための新型コロナウイルス感染症(COVID-19)解説

2020年2月26日、Perfumeの東京ドーム公演が、当日の午後になって、中止となりました。その後、福山雅治、星野源、King Gnu、米津玄師と、次々と著名なアーティストがライブの中止を発表しました。

その後、本日まで、数多くの(おそらくはほとんどの)ライブの中止が続いています。私が予定していたフジファブリックのツアーのライブも延期となりました。

 

いったい、この状態はいつまで続くのか。

延期された公演は本当に開催されるのか(また延期なんてことにならないだろうか?)。

エンターテイメント業界への(私が愛するアーティストへの)影響はどうなんだろうか。

ライブばかり狙い撃ちにされてるような気がするけどちょっとひどくないか?

 

いろいろ不安が渦巻きます。

そんな私が、熱心に集めた新型コロナウィルス感染症(以下「COVID19」といいます。)についての情報を、ライブを愛する皆さんと共有したいと思います。

 

 

ライブ中止のきっかけ

2月26日の午後、政府は、「現時点で全国一律の自粛要請を行うものではないものの」、今後2週間、イベント等の開催について「中止、延期又は規模縮小等の対応」をするよう求めました。

令和2年2月26日 新型コロナウイルス感染症対策本部(第14回) | 令和2年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ

 

PerfumeもEXILEも、開催する予定で進めていた大規模ライブの中止に踏み切ったのは、このような政府の要請を受けたためです。 

 

私はこのニュースに接したとき、正直、「ここまでするのか?」とちょっと驚きました。東京ドームや京セラ大阪ドームの公演を中止したら、経済的損害も相当大きなものだろうし、何よりアーティストやスタッフはきっと開催に向けて莫大なエネルギーを費やしてきたはずなので、直前で公演を中止するというのは、相当大きな決断だったと思います。中止が公表される直前まで、東京ドームからはリハーサルの音漏れがあったなんてことを聴くと、本当に胸が痛くなります。

(もしこれがフジファブリックの大阪城ホール公演だったと想像すると、立ち眩みがします!)

 

その後、バタバタとライブの中止が続き、例えば、フジファブリックも所属するSony Music Groupは、グループとして、主催するすべての3月11日までの公演を中止・延期することを決定しました。

そして、自粛要請から2週間が経過した3月10日に、政府はさらに「今後概ね10日程度はこれまでの取組を継続いただくよう御協力をお願い申し上げます。」と、自粛要請を延長しました。

令和2年3月10日 新型コロナウイルス感染症対策本部(第19回) | 令和2年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ

 

ちょ、2週間って言ったじゃん・・・・・

と思った人、いるんじゃないでしょうか?

 

この政府の要請が続くかどうかは、3月19日目途に公表される専門家会議の見解を踏まえて発表される見込みです。どのような内容となるか、注目されるところです。

 

COVID19のやばさを世界の動向からみる

ライブ中止が続き、 音楽や演劇など、ライブ系エンターテインメントを心の糧・命の糧とする界隈からは、「しょうがないことだと感じてはいるけれど、なんで」「自粛要請って政府なんか卑怯」「いったいいつ推しに会えるの」「生活に潤いがなさすぎる」といった悲鳴が上がり始めました。

 

だって辛いんだもん・・・・

 

そこで腹いせに、オタクたちからライブを取り上げるほどCOVID19はリスクが高いのか、どんな風にやばいのか、調べてみました。

 

まず、世界各国がどのような対応をとったのかを、ザクッと見てみます。

 

2019/12/30 中国の武漢市が、市内の医療機関で原因不明の肺炎患者が相次いで確認されたと公表

2020/1/11 武漢市が、ウィルス性肺炎で男性死亡と公表

2020/1/20 中国政府が、「人から人への感染確認を公表」

2020/1/23 武漢市、封鎖

2020/2/1 米国が過去2週間以内に中国を訪れた外国人の入国禁止。日本が14日以内に中国湖北省における滞在歴がある外国人等の入国制限

2020/2/12 日本が14日以内に中国浙江省における滞在歴がある外国人等の入国制限

2020/2/16 世界の約50の国・地域において中国からの渡航に対する何らかの制限措置を実施

2020/2/23 イタリア北部のロンバルディア州でイベント中止の指令

2020/2/26 感染が広がるイランとの国境を有するトルコやイラク、アフガニスタンなどの近隣諸国がイランとの国境を閉鎖

2020/2/27 中国各地で日本・韓国などからの入国管理が厳格化

2020/2/28 インド、日本と韓国の国籍保持者に対する到着ビザの発給停止を発表

2020/3/2 サウジアラビア、日本を含む感染国からの観光ビザおよび商用ビザでの入国を一時的に停止

2020/3/11 米国が英国を除く欧州から米国への渡航を制限することを公表

2020/3/10 伊、全国で移動制限

2020/3/12 フィリピン、マニラ首都圏を3月15日から4月14日まで封鎖し、日本を含む感染発生国からの入国を制限。モスクワ州政府、5,000人以上の大規模イベント開催の自粛勧告

2020/3/13 チェコが、日本を含む感染危険国からの入国禁止。米NY州が500人以上の集会制限。

2020/3/14 仏、生活必需品を扱う店以外の国内全ての店舗を休業。

2020/3/16 仏、一斉休校。ドイツ、オーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、デンマークとの国境で出入国を実質禁止。ニュージーランド、全世界からの入国者につき、入国後14日間の自主隔離を求める。ポーランド、外国人を実質入国禁止。EU、1,000人以上の室内で行われるイベントに禁止を推奨。

 

書ききれません・・・・

上記はなんとなーくピックアップしたものだけで、アジア・オセアニア・中東・南米含め、世界各国がいろんな規制をしています。

今週から、COVID19を対岸の火事と思って余裕を見せていた欧州の規制っぷりがすごいです。(ロンドンでオリンピックやってもいいYO!なんて言ってたのに・・・・)

 

3月17日の時点で、日本からの入国・入域渡航が制限されている国・地域は75、入国後の隔離などの制限がある国・地域は85あります。

https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html

 

旅行どころではないですね。

今、世界中で、人の移動の制限とイベントの自粛が行われているのです。

 

COVID19のやばさを専門家に教えてもらう

世界各国の政府が慌てふためき、経済活動を犠牲にしてまで制限を行っているCOVID19は、どうしてそんなに危険なウイルスなのでしょうか。

毎年大勢が亡くなるインフルエンザとは、何が異なるのでしょうか。

 

よく言われているのは、

 

・症状がない人でも他人に感染させる

・社会の側に、まだ有効な免疫がない

 

ということです。SARSのように必ず発症するのであれば、発症者を隔離すればいいけれども、COVID19は無症状の人もおり、かつそういった人も他人を感染させることがあるので、危険だということです。

見えない敵と戦わなければならないということですね。

 

また、免疫がないということについて。

季節性インフルエンザよりも致死率が高く、かつ伝染性が非常に高いコロナウイルスが、そのウイルスに対する有効な免疫を誰も持っていない社会に次々と襲い掛かり、感染が社会の中で急速に広がることが懸念されているのです。

 

免疫については、免疫学者である小野昌弘先生の記事が大変わかりやすく、勉強になりました。

news.yahoo.co.jp

 

このような特徴のため、COVID19の感染は、指数関数的に増加すると言われています。指数関数とは・・・・ネットで検索したら「ある量が増大する速さが増大する量に比例する現象のことである。」と説明されていました。微分積分とか得意な人はすぐわかるよね。私は苦手です。

 

でもそんな私にも、直感的にこの指数関数的増加がわかる素晴らしいサイトがありました。

https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/world/corona-simulator/

 

ワシントンポストの記事(COVID19については、記事を無料開放しています)なので、英語なんですけど、凄くわかりやすい動画があります。

今はGoogle先生が翻訳をしてくれますので、英語が苦手な人もトライすることをおススメします!雰囲気はわかるので。

 

病気の人、健康な人、病気から快復して免疫を獲得した人、を3つに色分けした小さな玉で表し、どのように感染が広がるかをシミュレートした動画があります。①何もしない場合、②検疫(入国禁止とかですね。でも完全にはウイルスの侵入を防げない前提になってます。)を実行した場合、③ゆるやかな社会的隔離(店舗の閉鎖、イベントの自粛などですね)を実行した場合、④より厳しい社会的隔離(外出禁止令ですね)を実行した場合の感染の広がり方を、それぞれ動画で見ることができます。

 

①何もしない場合の感染の広がり方がやばいです。最初は「病気の人」は一人だけだったのに、あっという間に全員感染していく様子が見て取れます。指数関数的増加、怖いです。②もわりとスピードは速くて、③と④が、感染もするけれども、回復して免疫を獲得した人が結構ちゃんと増える感じです。

 

世界の多くの国が採用し始めている社会的隔離(Social Distancing)の科学的根拠は、こういった統計を利用したシミュレーションにあるものと思われます。

 

Social Distancingって何?という方にはこちら。

www.rockcellarmagazine.com

 

(つづく)