何かやばいクスリでもキメているかのように、エレファントカシマシの宮本浩次さん(以下「ミヤジ」と呼ばせていただきます。)の絵ばかり描いている私ですが、これは、エレカシには素晴らしくいい写真が多い、というせいでもあります。
ミヤジ自身がフォトジェニックなルックスであり、また目立ちたがり屋を自称する彼が写真を撮られることが決して嫌いではない、ということもありますが、彼には岡田貴之さんというカメラマンがいることも大きいと思います。
岡田貴之さんは、数多くのアーティストの写真を撮っているカメラマンです。
Tumblr : TAKAYUKI OKADA PHOTOGRAPHY
ミヤジとは10代の頃からの友人でもある彼は、もうずっとミヤジを含むエレカシのメンバーを撮り続けています。
2017年3月にPARCOで開催された THE FIGHTING MAN写真展も、岡田貴之さんの写真で構成されたものでした。
先日のWOWOWで放送された「ノンフィクションW エレファントカシマシ、宮本浩次」でも、オハラブレイクの楽屋の外で、カメラを手にミヤジを待っている岡田さんの姿が見られました。
おそらく、ミヤジを撮ることは、カメラマンとしての彼のライフワークでもあるのではないでしょうか。
30周年記念として発売された写真集「The Elephant Kashimashi」は、すべて岡田貴之さんの写真で構成されていて、カメラマンとしての彼がどんな視線でミヤジを含む、エレカシメンバーを眺めているかがわかります。
どの写真からも、エレカシのメンバーがまとっている、赤羽という東京の北にある街と昭和という時代の匂いが立ち昇ってきます。The Beatlesがリヴァプールで結成されたように、エレカシは赤羽で結成されたんだなと思います。
赤羽で生まれ、育ち、ロックバンドを編成し、何度も周囲と摩擦を起こしながらも、自分を誰にも売り渡すことなく生き延びて今、50代に足を踏み入れた男たちのまぎれもない年代記がそこにあります。
そしてそれ以上に、まあありていに言ってしまえば、岡田さんはミヤジに惚れてしまっているんだな、と私は思いました。
明らかにミヤジがカッコいいですからね。
(岡田さんが撮ったジャケ写)
他のカメラマンが撮るミヤジは、今をそのまま写されている、と思うんですが、岡田さんの撮るミヤジは、2割増しくらいで実物より激しく、鋭く、また実物より静かでおだやかです。
宮本浩次という人の魅力の一つには、その振れ幅の大きさがありますが、岡田さんが撮る写真は、その両面をはっきりと、しかもかっこよく、私たちに見せてくれます。それは、岡田さんの目にはこう写っている、というミヤジです。
ミヤジの一番カッコいい瞬間を切り取るために、一定の距離を保ちつつ(でも近い)、岡田さんは楽屋の外でカメラを携えてミヤジが出てくるのを待っているのだな、と思いました。