ジャニーズ事務所を退所した草彅剛、稲垣吾郎、香取慎吾さんのファンサイト「新しい地図」が動画第二弾を公表しました。
動画第一弾は、くっきりと光のまわった映像で、「逃げよう。自分を縛りつけるものから」というメッセージとともに、世界各地で前を向って歩いてく人の後ろ姿をつなぐことで、「新しい地図」のコンセプトを伝えてくれました。
動画第二弾は、がらりと趣向を変え、3名の個性にぐっと近寄ったものでした。
道なき道を行こう
こわくなんかない
もしも迷ったら
耳をすまそう
誰かの笑いがする方へ
信じていれば
どこかできっと会える
君と僕は
新しい地図
草彅君は、曇り空の下、バイクでどこかに走り、また、海辺を赤い服を着た少女の手を引いて歩いています。
香取君は、何やら激しいスモークの中、口元をぬぐっています。
稲垣君は、海の見える夜の崖を抜け、グランドピアの上に酒瓶を置きます。
どの画面も暗く、3名の表情ははっきりとは見えません。
3人のおかれた状況もバラバラで、関連性が認められません。
しかし、どれも不思議としっくりくるのです。
それは、観る側が、現実に彼らがおかれている状況を、自然と文脈として読み込んだ上で映像を受け止めるからではないでしょうか。
この3名を含む、SMAPと呼ばれていた5人は、この2年間、およそ普通とはいえない環境にありました。人々の興味感心は、彼ら5名の人間関係、マネージャーとの関係、事務所との争いに集中していたといってもよいでしょう。
ある場合には運命っていうのは、絶え間なく進行方向を変える局地的な砂嵐に似ている。
(村上春樹『海辺のカフカ』)
砂嵐は、まさに、5名それぞれを包み込むようにして、彼らのいる場所の視界は、常に不良だったことでしょう。彼らが生きてきた毎日は、映画や小説よりも劇的であり、大衆もまた、それを彼らに望んでいたといえるでしょう。彼らは、現実の人生そのものを、リアリティ・ショーのように、人々の目線にさらされ続けていたのです。
この動画第二弾は、それを逆手にとって、私たちを彼らの物語に誘っているように思えます。映像の中の3人は、現実の彼らの延長線上のように見え、彼らが本当に、夜の海辺を歩きながら、「どこかできっと会える 君と僕は」と話しているように(動画からは音声は流れていないのに)聴こえます。
フィクションとノンフィクションが交差して橋が架けられ、私たちはまた、横一列に並ばされて笑顔もなく頭を下げさせられるというあの恐ろしいステージの舞台裏ではなく、ステージの上の彼らに会うことができるのではないでしょうか。
そんな期待をさせてくれる動画でした。