彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

映画「君の膵臓を食べたい」 それを恋と呼ぶこともできるけれども

映画「君の膵臓を食べたい」を観てきました。

「世界の中心で、愛を叫ぶ」や「君の名は。」を好きな人には、とてもお薦めできる映画でした。

 

 

映画「君の膵臓をたべたい」オフィシャルガイド

 

あらすじ

美少女が難病で死ぬ話なんて、何番煎じだと侮るなかれ。

かなり、ほんとに、良かったです。

そりゃ、それはどうなのと突っ込みたくなるところがゼロではないけれども、それを補って余りある良い映画でした。その最大の要因は、主演二人(浜辺美波ちゃんと北村匠海くん)の演技と存在感にありました。

 

高校時代のクラスメイト・山内桜良の言葉をきっかけに母校の教師となった【僕】。彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヵ月を思い出していく―。

膵臓の病を患う彼女が描いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、【僕】と桜良は次第に一緒に過ごすことに。だが、眩しいまでに懸命に生きる彼女の日々はやがて、終わりを告げる。

桜良の死から12年。

結婚を目前に控えた彼女の親友・恭子もまた、【僕】と同様に、桜良と過ごした日々を思い出していたー。

そして、ある事をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを知る2人―。

 

(オフィシャルサイト「ストーリー」)

kimisui.jp

 

以下、ネタバレありの感想です。

 

 

透明感あふれる桜良ちゃん

なにこの透明感。

恐ろしいほどの透明感。

透きとおるような女の子っているんだ!

 

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最初、ちらっと、ウザイなとも思ったんですよね。小悪魔キャラが。

でも、それが嫌味がなくて、やがて可愛いとさえ思うようになってしまった私はまんまと彼女の術中にはまってしまったのでしょうか。

博多のホテルでのゲームとか、私が男子高校生だったら完全にやられていますね。「私の可愛いところを三つ上げよ」とか、そんなラノベみたいなセリフ、照れずに言える女の子ってかなりファンタジーだと思うけど、目の前で自然に演じられたらね・・・・脱帽ですよ。

 

雨に降りこめられて、不安定な彼女が不安定なままに彼に抱きつくシーンもよかったなあ。二人の間に走る緊張感が、劇場までも満たしていました。

「これはハグだよ。だから、いけないことをするのはこれから」

末恐ろしい16歳(美波ちゃんが)。

 

明るい笑顔と、何かを堪えるような表情のバランスが絶妙でした。

 

男子高校生春樹君

いやーそれは立ち直れないよね!

最初、小栗旬が出てきたときに、なんか陰気なキャラだな、もっさりしてるな、と思いましたが、それはそうですね。

高校の時にあんな可愛い子に、あんな翻弄されて、結局好きになって、なのに最後あんな別れ方をして・・・・。

そんな鮮烈な体験をしてしまったら、その後に恋愛なんてとてもじゃないけどできなさそう。

同情します。

 

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翻弄される少年 

 

北村君がとても顔立ちが整っているので、クラスでのハブられっぷりはちょっと不思議な気もしますが、でも強引に納得させてしまう、心の壁(ATフィールド)全開の演技がよかったです。たまにいるよ、こういう閉じてる男子。

最初、桜良のことを面倒くさいと思っているのに、どんどん惹かれていく様子もとても自然でした。

あんなに居心地悪そうにしていたカフェで、北海道旅行の計画をまめに練っているところはいじらしくて涙を誘いました。

 

また、「お母さん。こんなことを言うのはお門違いだと思いますが、もう、泣いてもいいですか」のシーンは、涙腺が決壊しました。

 

2人の関係

純愛ラブストーリーという見出しが付きそうな映画ですが、物語において、桜良と春樹は、お互いに「好き」とは一度も言わないんですよ。

その代わり、「君の膵臓を食べたい」とは言うわけですが。

二人の間の関係は、かなり友情成分が多かったように思います。

春樹が桜良にあてて書いて、結局大部分を消すメールで、春樹は彼女について「君はすごい」「勇敢だ」などと語っています。自分にない、オープンマインドな桜良を尊敬している気持ちがよく伝わってきます。死を前にして、勇敢に、でも笑顔を絶やさずに生きる彼女を、素直に称賛しているのです。

昔好きだった女の子を「なんにでも『さん』を付ける子だった。でも、それが周りに対する素直な敬意の表れのような気がして、好きだった」と語る春樹らしい態度です。

 

桜良のほうも、孤独だけど揺るがない、春樹の(臆病だけど)芯の強い部分を信頼しています。安易に泣いたりしない、そういう春樹だからこそ、自分の病気をネタにしながら、時によりかかることができたのでしょう。

 

この映画においては、彼女の死という、物語のある種の結末は最初から明らかであり、それまでの細かい描写をじっくりみていくことがテーマになりますが、二人の間の心の交流の色合いの微妙さも、見どころの一つと言えるでしょう。

 

その他泣き所

桜良の母親がよかったです。

娘があんなことになっているのに、家が荒れていない。ちゃんとしたご家庭なんだな、と感じさせます。

博多でのホテルのアップグレードも、ダブルブッキングなどではなく、親の計らいでは・・・・?なんて想像してしまいました。

なんなら、男の子と一緒であることさえも、見抜いていたかもしれません。でも、送り出してしまったのかな、と。

あんな若くてかわいい子が余命いくばくもないことになったら、それはなんだって体験させてあげたくなるかも(子供いないのに親目線)。

 

 

ツッコミどころ

  • 小栗旬が、図書係の男子生徒相手に、桜良について語るのが不自然すぎる。心閉じてる男が、大事な大事な想い出を、あんな平場で何気なく語るはずがない。
  • 図書係の男子高校生が、小栗旬に促されて、絡んでくる女の子に「また明日ね」というシーンがわざとらしくて蛇足。
  • 退職届を職員室で破るシーンがわざとらしくて蛇足。ふつう、家持って帰って捨てるんじゃない?
  • 北川景子が、結婚式の招待状を小栗旬に出すのが不自然。ガム男が出すならまだわかる。
  • 北川景子の存在自体が蛇足。ミスキャスト。あの役が北川景子である必要性がまったくない。花屋にも見えない。ニュースキャスターとかCAに見える。

 

でも、主演二人の演技がよかったので全部許します。