品川プリンスホテルにあるクラブexで行われた「STAND ALONE vol.5 藤巻亮太×山内総一郎」に行ってまいりました。
全体の感想
STAND ALONEは、「ロック・シーンで活躍するアーティストたちが、たった一人でステージに立ち、声と楽器のみで 勝負するという普段のステージではなかなか観ることのできないスペシャルなライブ」というイベントです。ステージはなんと円形で、客席とステージの距離がとても近く、ここでぐるりと観客に囲まれて一人立つのは、確かに緊張しそうです。
しかし、そんな緊張もきっとバネにしたのか、今日の藤巻亮太×山内総一郎のステージは、先輩でもなく後輩でもなく、まさに同年代の二人が、仲良くいちゃいちゃしながら、でもそれぞれが我が道をしっかり見せつける、素晴らしいステージとなりました。
先行は山内総一郎
ステージが始まる前は、いつもドキドキします。私がステージに立つわけでもないのに、なぜかそわそわ、ドキドキします。
今日もそんな風にドキドキしながら総君を待っていました。ギターテックのゴリさん浦さんが出てきたので、総君が先行だとわかっていました。
時間になり、総君がステージに出てきました。
ステージの上部には複数のモニターがぐるりと円を描いて吊り下げられており、どの席にいても、正面からの画像を見ることができます。すぐそこにいる人の表情が、モニター越し少し違って見えるのが、ちょっと不思議で面白かったです。
私は、ステージの向かって左側のブロックにいたため、総君の右横顔を眺める位置でした。心配していた衣装は、柄物でなく裾も短かったのでとりあえずホッとしました。今まで見たことのない、ピンク色の薄いジャケットを袖まくりし、中は白いシャツ、ズボンは太目のダボっとしたタイプです。フジフレンドパークのときも3日とも違う衣装だったし、急に衣装持ちになったね総君。
曲目
声援に軽く答えた後の1曲目は、「ブルー」でした。
「ブルー」は、ワンマンでも弾き語りでもよく歌われる曲で、もう何回も聴いているのですが、いつも少しずつ違います。
京都の弾き語りイベント「ヒトリの夕べ」では、ホールに響かせる歌声でしたが、今日は、時に囁くような緩急つけた歌い方で、とても切ない「ブルー」でした。今日はいつもよりも、声がハスキーに感じられたのですが、それがまた切なさに拍車をかけていました。
「今日は暑いですね・・・・暑すぎますね!」「フジファブリックには夏のお祭りの歌が何曲かあって、そのうちの一つをやります。」という導入で始まった2曲目は、「水飴と綿飴」。この曲が好きなフジ友のNさんが、隣で息をのむ音が聞こえました。
- アーティスト: フジファブリック
- 出版社/メーカー: Digital Distribution Palestinian Territory Occupied
- 発売日: 2016/05/18
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログを見る
フジファブリックのメジャーでのセカンドアルバム「FAB FOX」に収められたこの曲は、作曲が山内総一郎、作詞が志村正彦です。
とろけるような街の明かりの
魔法に任せた 祭りの帰り
流れ星を見つけて微笑む君を見てる
ほら水飴 混ぜたらあげるよ
代わりのその綿飴もちょうだい
お祭りの歌といっても明るい曲ではなく、メランコリックな曲調の、不思議な曲です。和風というよりむしろ洋風な、遊園地でかかっていそうな哀愁漂う弦楽器が特徴的です。暗いステージの上で色のついたライトを浴びてこの曲を歌う総君は、どこか無国籍な風情で、一気に世界観に引き込まれました。「ほら水飴 混ぜたらあげるよ」という総君はなんというか・・・・ああなんと言うか!!!!
ギターも少し変わった弾き方で、きっとこれなんとか奏法とか名前ついてるんだろうなあと思いながら聴き惚れていました。
一息ついてMC。記憶で再構成してますけど、こんなこと言ってたかな。
「今日は、藤巻亮太くん、亮ちゃんと一緒にやれてとても嬉しいです。フジファブリックは、志村正彦という人がつくったバンドなんですけど、・・・・奴が(注:ちょっと迷った末に「奴」を選んだ)山梨出身なんです。で、亮ちゃんも山梨出身で、僕は山梨とは関係ないんですけど、すごく話が合って。話してても、そうそうそう!って言うことばっかで。この前も、今回の打合わせってことで呑んだんですが、朝まで呑みました。」
「レミオロメンは僕らよりちょっと前にデビューしてて、その頃は対バンとかしても全く話さなかったんですけど、2年位前の浜崎貴司さんのGACHIってイベントで一緒になって、その時話をしたら、ほんとに話があって、仲良くなって。この年になって友達ができるって、なんかいいなあって。おじさんがね(笑)、おじさんと友達に。」
「亮ちゃんはね、エロいんですよ!あの人・・・・下ネタとかは話さないんですけどね。僕は話すんですけど。小学生レベルの。あの人はそういうの話さないんですけど・・・・なんかエロいでしょ!でもいろいろ教えてくれるんです。こう、足をつかった・・・」
足を使った???え?そんなディープな、いくらエロいからといって・・・。
「ドラムみたいなやつを」
いつの間にか楽器の話でした。
3曲目は、このキックパッドを活用した「透明」。
「ヒトリの夕べ」に引き続いて、この曲が聴けて嬉しいです。
「透明」は、微妙にさみしさのある曲なんですが、キックバッドでリズムを刻むと、最後のほう、「パステルだって染めらんない 憧れずっと追いかけたい」のあたり、前向き感が5割り増し、いや10割増しになってました。
リズムが加わるだけで曲の印象がこんなに大きく変わる不思議を感じました。
しかも、「追っかけって、わかる?」という総君のリクエストに応え、「ラララ―ラララララーラー」のところを、みなで追いかけて歌いました。
気分はもう、海の見える丘を越えていく一隊です。
どんどん楽しくなってくる4曲目は、UAの「ミルクティー」。
微笑むまでキスをして
終わらない遊歩道
震えてたら抱きしめて
明日までこのままで
(作詞:UA 作曲:朝本浩文)
総君は、フジアコのときにJUDY AND MARYの「LOVER SOUL」を歌ったり、NHK BSプレミアムで放送された「Covers」で竹内まりやの「純情ラプソティ」を歌ったりと、わりと女性シンガーの曲をカバーするのですが、そんな時の総君の歌声は、中性的な不思議な魅力があります。
そして、とても切ない・・・。
今回の「ミルクティー」は、とても切なかった。
UAの「ミルクティー」はソウルフルで、むしろパワーをもらえる感じなんですが、総君の「ミルクティー」は、つかんだら消えてしまいそうな、何やら繊細なものを扱っているという感じがしました。最後、「離れててもキスをして 生ぬるいミルクティー」ってところがなんか、俳句でも読みましょうか!という侘び寂びを感じました。
なお、この時、ステージが回転した後だっため、私はずっと総君の後ろ姿を(主に後頭部の形を)見ながら曲を聴いていました。
山内総一郎の歌声がまた進化している、と感慨にふけったところで、再びMC。
「7年前の今日、歌い始めたんです。その時は心臓がバクハツしそうで、こんな風に歌えるようになるなんて、思いもよらないことでした」
7年前のフジフジ富士Qは、7月17日開催なので微妙に1日違いですが、7月になると彼はいろいろ思い出すのかな。
震えるような声で歌っていた「会いに」。その頃の総君に、君は立派なフロントマンになる、弾き語りイベントにだってたくさん呼ばれる、初恋の嵐のセカンドにボーカルとして参加もする、と言ったら、果たして彼は信じたでしょうか。
それくらいの奇跡を、彼はこの7年間で起こしたんだよね。
(続く)
(京都のレポも完成させてないのになんですが、はい、続きます)