フジファブリックのLIVE TOUR 2017「STAND!!」@Zepp Tokyoの二日目に行ってきました。いつも通り盛大にネタバレしていますのでご注意ください。
とても不思議な体験をした。いつもはどうしても山内くんに視線が釘付けになってしまうのだけれども、その日はずっとスクリーン全体から目を離せず、山内くんの声も音も、頭の中で鳴り響いているようだった。
小さ目のライブハウスとは少し違う演出があるらしいと、直前に耳にした。ステージから比較的近い位置のバーに寄りかかりながら開演を待った。ステージ前方に薄い幕があるように見えたけど、気のせいかもしれないと思っていた。
客電が落ち、歓声の中、スクリーンに映像が映し出される。淡い色合いの鉱石にも見える図形が、心臓のように脈打っている。何が始まるのだろうと、期待に脈が速くなる私たちファンの鼓動みたいだ。
一曲目は「FREEDOM」。いつもと違うのは、スクリーンに歌詞が映し出されること。その歌詞が、言葉が、ほどけながら、回転しながら、私たちに降り注いでくること。
雪が降っているとき、空をじっと見上げていると吸い込まれそうに錯覚する、あの感じに似ている。
昨年、DMM. PLANETS ART by teamLabというテクノロジーをつかった展示会(?)のようなものがあって、そのFloating in the falling Universe of Flowersという作品が、とても好きだった。暗い宇宙空間のなかで、巨大な花が散っていく様を体験できる作品なのだけれど、その作品を少し思い出した。でも今は、スクリーンの向こうで歌っているのは山内くんだ。
まだ着かない 僕は揺れる 地図の中をゆらゆら
FREEDOM これまで見ていた夢は
FREEDOM これから照らす光さ
地下鉄の中でその時山内くんが見ていた夢を私たちも疑似体験しているような、そんな気持ちになる。きっと、歌だけではこんな気持ちにはならなかった。言葉が降り積もってくるのが気持ちいい。曲を、耳だけではなく、脳でも、イメージでも、味わっている。
二曲目は「Green Bird」。
山内くんの歌とともに、図形が形を変え、リズムを刻む。鳥が飛び立ち、感情の放流が花火のように沸き立ち、滑らかに流れていく。想いが流れ、時が流れ、ストーリーが流れていく。
この曲が一つの物語を歌っているんだということを、五感で体験できる。
三曲目の「SUPER!!」では、画面いっぱいに「STAND!!」の文字が映し出され、一気に幕が落ちた。いつものライブが始まる。
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この3曲に限らず、今回のZepp公演の演出は、印象に残るものが多かった。「陽炎」では、照明がメンバーの影をかわるがわる、ステージ背景のスクリーンに映し出していた。この曲がバンドにとってどういう位置づけの曲なのかをよく分かっている人の演出なのだと思わせる。次々と切り替えられる影と影と影は、私たちを過去へと一瞬連れて行くのだ。
曲のラストで、金澤くんが鍵盤を弾いている間ずっと映しだされたシルエットは綺麗だった。
ステージのラストから中盤に曲順を変更された「the light」の演出もよかった。「the light」のエフェクトのかかった山内くんの声は、小さいライブハウスだと反響しすぎで聞き取り辛い時があったけれども、Zeppではちょうどよく響いた。現実と夢の狭間で、目の前に海があって、灯台があって、人ならぬ人がいて、波の音の向こうで山内くんが歌っているような、なんかほとんど異空間みたいな場所に連れて行ってもらった。
★★★
そんなわけで、言葉もでなかったです。
最後、ツアーが終わってしまうのが、ほんとにさみしかった。今回、私が行ったのは全部で3公演でしたが、心の中ではメンバーと一緒に旅をしていたような気持ちだったのかなと思います。ダイちゃんが最後、「帰りたくない!」って言ってましたけど、ほんとにそんな気持ち。
フジファブリックを好きでよかった。幸せをありがとう。
幸せ者バンドフジファブリックの、幸せ者ファンです。ほんとにもう。