彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

三日月ADVENTUREを振り返る

本日の長崎公演で、フジファブリックの2016年LIVE TOUR「三日月ADVENTURE」の全公演が終了しました。

いつもライブ中一回は「楽しい!」と言うくらい、楽しそうに演奏する山内総一郎氏であり、また他のメンバーですが、それってつくづく、凄い事だと思うのですよ。

 

Cherry Nade169というバンドがあります。ロック兄弟で司会をしていた田中美里ちゃんとコラボもしていました。

 

youtu.be

 

このバンドのメンバーの一人(杉田陽輔さん)が、先日、脱退することを発表しました。

こうなってしまった原因は、正直に言うと、音楽を嫌いになってしまった事です。
いつからかはわかりませんが、このツアーが始まるずっとずっと前の話です。段々と少しずつ音楽に対する情熱が中途半端なものになっていきました。

 

私はこれを読んで、アルバム「LIFE」のときの総君のインタビューを思い出しました。

 「『VOYAGER』は自分が出ていないわけじゃなくて、あれはあれで自分を出したんですよ。しかもそのときやりたかったことというのは、歌詞よりもサウンド的なことだったり、あとはアルバム作るうえで自分がキープしないといけないこと――つまり背負うってことなんでしょうけど、そういうので自分がいっぱいいっぱいで」

――それこそセールスとか動員とか、シビアなハードルもあるだろうし。

「タイアップとかもね。だからもっと早くから今回みたないことを唄えるようになりたかったけど、そこには自分的な順序があるってわかってたんで。最初からそこにいけるわけじゃなくて、『STAR』と『VOYAGER』があってようやく唄えるんじゃないか、みたいな」

――そこまでして自分のことをちゃんと唄いたいと思ったのはどうして? 

「それは……イヤになるのがイヤだったから。はっきり言っちゃうとそういうことなんですけど」

――イヤになるっていうのは、バンドをやるのが?

「そうですね。じゃないとバンド続ける意味なんてないなって思ったから」

(「音楽と人」2014年10月号[31頁])

 

創作とは微妙なもので、歯車が狂えば、好きなものも嫌いになりかねない。そこの調整は、周りの環境もあるでしょうが、結局は、アーティスト本人が責任を負わねばなりません。

 

妻と夫は離婚するし、チームは離散する。バンドは解散する。

「サヨナラだけが人生だ」という詩もあるし、そのこと自体は否定すべきことではないけれど、物事が長く続くには、やはり裏に努力があり、調整があるのだと思います。

 

その果ての「楽しい!」だと知っているから、フジファブリックのライブは私を興奮させ、感動させます。

今回の「三日月ADVENTURE」は、メンバーの人間関係が安定している上、創造に必要な刺激もお互いに与えあっていて、音楽をまさに楽しんでいる、そんなバンドの成熟を感じさせるツアーでした。

 

写真は、熊本土産の日本酒です。300mLで大吟醸ってなかなかないんですよ。美味しいです。ツマミはこれも熊本で買ってきたなめ茸です。フジブログを書きながら一杯やるのが、私の密かな楽しみなのです。

 

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