彼方の音楽

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MEKURU「みんなのキョンキョン 誰も知らない小泉今日子」にみるキョンキョンの人徳

amazonの上半期ベストセラーランキングの「エンタータイメント部門」の1位は、雑誌MEKURUの小泉今日子特集号だ。

 

MEKURU VOL.07 (小泉今日子)

MEKURU VOL.07 (小泉今日子)

 

 

「小泉今日子、祝・50歳!全90ページ大特集」と銘打ち、「自宅で撮り下ろしたフォトストーリー」と「27名によるわたしの中の小泉今日子」から構成されている。

 

フォトストーリーの写真は、ノーメイクである。

芸能人が「すっぴんです!テヘ」なんていう加工写真をネットにアップしてますが、そういうのじゃない。そういう感じじゃない。

 

たとえば今日の撮影も、『自宅でセルフメイク、セルフスタイリングで撮りたい』と言われたときに、まず私に何を求めてるんだろう?っていうことを考えますよね。だけど、”家にいる自分はこういうふうに思われたい”っていう自意識が生まれた時点で、すごく違和感があって。家にいる風のナチュラルメイクをするのも気持ち悪いから、じゃあ、メイクしない!っていう発想になっちゃう(笑)。最終的に武器を捨てちゃうタイプなんです。それが私のふざけたパンク魂だし、そういうやり方しかできない人なんでしょうね(笑)」〔34頁〕

 

「パンク魂」。

なるほどという感じ。キョンキョンは、「パンク魂」を抱えた、プロ意識をもったアイドルであり、女優であり、文筆家なのだ。

 

武器を捨てたキョンキョンの写真は、50歳という年輪を否定しておらず、タバコを吸う横顔は不良の香りがし、でも瞳には知性の光をたたえていて、カッコいい。昔からこの人が好きだったが、50歳という年を迎えてますます素敵になっている。

 

伝説を残す、ということのできる人は他にもいるんです。例えば山口百恵さんは21歳でアイドルをやめて、それ以降は一切表に出なくなった。あるいは尾崎豊さんは、若くして亡くなってしまった。時間を止めることができれば、そこで伝説になるんです。ところが小泉さんは表舞台にずっとい続けながら、リアルな、生身の人間としての小泉今日子を、デビューした16歳の時から50歳になる今まで、僕らに見せ続けている。自分の意思を持って自分の生き方をしてきたから、50歳になってもアイドルでいられるんだと思うんですよね。(秋元康〔47頁〕)

 

27名のうちのひとり、秋元康の言葉はわかりやすい。ちなみにこの人、「なんてったってアイドル」を作詞してたんですね。

27名の人選は多種多様だ。松田聖子、吉本ばなな、YOUなど親交の深い人から、あまちゃんの脚本家である宮藤官九郎、ドラマで共演している中井貴一、さらには現在のマネージャーから、母・由美、トリは芸能界のドンと言われる周防郁雄までが、小泉今日子を語っている。

 

そこから浮かび上がるのは、センスが良く、大変な努力家で、謙虚で、芯のぶれない、そして可愛らしい一人の女性だ。また、これだけの人が彼女のためにアツく語っていることから、彼女は「人徳」があるんだなあと思う。

 

「人徳」は大事です。最近、ますます、そう思ってます。

 

小泉今日子ファンなら必読の一冊。