こんにちは、Manamiです。
夏季休暇で、ただいまスペインのバルセロナに来ています。おかげで、オンエアされたフジファブリックの新曲「Girl! Girl! Girl!」は聴けていないのですが、噂では、とにかく「可愛い」歌だとか。帰国してからのお楽しみですね。
さて、フジファブリックとは全然関係ないのですが、「自分が感動したことはやっぱり書き留めておきたい・・・・」ということで、これから数日間、こちらは旅blogになります。よろしくお付き合いください。バルセロナに興味のある人が、ここにたどり着いてフジファブリックに興味を持つきっかけがないとは誰も言い切れないし。書いてもいいよね?いいとも!
旅行先にバルセロナを選んだのは、サグラダ・ファミリアを観たかったから。東京タワーとか凱旋門とかエッフェル塔とか、わかりやすい巨大モニュメントが大好きな私としてははずせない建築物であると、数年前から思っていました。
どーん!
ばーん!
飛行機の中で予習した書籍はこちら。
アマゾンのレビューで絶賛されてますが、読んで納得。これからサグラダ・ファミリアを訪れる人にとっては必読の書です。読んでて泣けました。
書いてらっしゃる外尾悦郎さんは、1978年に25歳でバルセロナに渡り、以降今日までずっと、サグラダ・ファミリアで彫刻家として働いている方です。サグラダ・ファミリアが今日のように有名になる前から、ずっと石を掘りつづけています。「生誕の門」の「楽器を奏でる天使像」は、外尾さんが彫りました。
ハープを奏でる天使。
ファゴットを吹く天使。
バイオリンを弾く天使とシターを弾く天使。
デュルサイナを吹く天使とタンバリンを叩く天使。
外尾さんの言葉を借りながら、サグラダ・ファミリアの驚愕ポイントを記載していきたいと思います。
ガウディの考えていた全体像が凄い
サグラダ・ファミリアの建設は、19世紀の終わり、1882年に始められました。今年で作り続けて133年目です。もうそれだけでなんじゃこりゃって感じなんですが、少し前までは、完成まであとさらに200年くらいかかるねーと言われていました。近年の財政状況の好転(建築資金は、すべて寄附金で賄われていました)と施工方法の変更(石だけじゃなく、コンクリートを使うようになりました)等により、今では2026年の完成が見込まれているということですが、いずれによ、生前のガウディは、「あと300年後に完成する建物」を構想していたことになります。
サグラダ・ファミリア、完成したらこうなります - YouTube
公表されている動画がわかりやすいですが、完成形のサグラダ・ファミリアは、18本の塔と後陣の建物、そして主祭壇が置かれる聖堂本体から構成される予定です。今現在は、塔はまだ8本しか建っていません。それでもすごい迫力なんですけど、なんと、ガウディは、その頂上に、サーチライトを置くことを構想していたそうです。光源とかそういうのはもちろん未定であるものの、遠い将来にはできるはず、と考え、そのための穴などが開いているそうです。
さらにもっと驚いたのがこちら。
そして、ガウディがもっとも情熱を傾けて実現を夢みていた大きな構想の一つが、サグラダ・ファミリアを楽器にするということです。
十二使徒の塔は、内部に螺旋階段が設けられ、旅行者が登ることもできるようになっていますが、基本的に人間が入るためのものではありません。じつは鐘楼としてつくられています。(前掲「ガウディの伝言」)
(私も降りたあの恐怖の階段のある)塔は縦笛だった!
生誕の門は、84本の鐘が吊るされ、巨大なピアノになる。受難の門はパイプオルガンになります。栄光の門は、ガウディが最終案を残す前に他界しているので、はっきりとしたことは分かりませんが、打楽器系の楽器にしようとしていたことが、生前につくられた模型などから推測できます。それを聖堂内にある鍵盤楽器で演奏する。おそらくガウディが考えていたのは電気仕掛けでしょう。生誕の門の鐘は弾いて鳴らし、受難の門の音源は空気を送り込んで鳴らす。高さ100メートルを超す巨大な楽器による演奏を、聖堂本体が石の共鳴箱となって響かせる。まるでそびえ立つ音の玉手箱のようなものです。(前掲「ガウディの伝言」)
教会全体が楽器って・・・・スケールが大きすぎます。正気の沙汰ではないと、当時思われたことでしょう。でも、細かい構造とか、音の反響を相当考えているみたいです(本には詳しく書いてあります)。
内部がナウシカの森である
外側の彫刻もすごいんですけど、聖堂の内部の美しさも息をのむばかりです。写真ではとても伝えられないと思うのですが、それでもやっぱり、カシャカシャと撮ってしまいました。
いままで見たどんな教会とも違う構造です。ステンドグラスから地中海の光が降りそそぎ、美しい影をあたりに散らし、まるで森の中を歩いているようです。二重螺旋の運動の原理を用いて作られる柱は、木々のように枝分かれして聖堂の天井を支えています。
双曲線面の窓から採り入れられる光は、太陽の動きに伴って、刻々と角度を変えていきます。それに伴って影も移動していく。傾き、枝分かれする柱の影が錯綜するだけではありません。増殖する角の影が伸びたり縮んだりし、柱の一本一本の表情が刻々と変わっていきます。まるで生命を持った光と影が追いかけっこしているような空間です。そのところどころに、ステンドグラスを通過したカラフルな光が、花のように落ちることになります。(前掲「ガウディの伝言」)
まさに石化した森。「風の谷のナウシカ」という宮崎駿の名作コミック(アニメじゃなくて原作の漫画のほうです。名作です。)に、腐海の下に世界を浄化する石化した森があるという場面があるのですが、それを思い出しました。
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すべてが象徴
キリスト教に関連した美術作品は、背景に聖書があり、いろいろなシンボルを読み解くと楽しみ方が増えるといいます。以前、ある絵画の解説に「裏返ったサンダルはキリストの受難を現しており・・・・」という記載があって、「マジか!」と思いましたが、サグラダ・ファミリアも様々なシンボルに彩られています。
例えば、大窓の上には、かごに盛られたフルーツの彫刻が載っています。これがカラフルですごく可愛いんです!
(「生誕の門」側のエレベータから塔に上ると、階段を降りれますが、そこから見えるフルーツ)
ガウディは「屋根の上にかごに盛られたフルーツを置き、大窓の周りには数百のフルーツと葉を散りばめよ」とだけ指示しており、これだけでは(私には)なんのことだかわかりませんが、1個が1トンもする葉っぱを数百と彫った外尾さんは次のように考えます。
私は、屋根の上に据えるフルーツは知恵の実りではないか、大窓の周りの葉っぱは、実りのために費やされた無数の言葉を象徴しているのではないかと考えました。(前掲「ガウディの伝言」)
そこで、若い葉っぱと小さな実を大窓に彫り、そのさらに上の屋根には色づいたフルーツと、枯れて収縮した葉っぱを掘ったそうです。さらに、聖堂の屋根より上の領域は「天上の国」扱いであることから、屋根の上にはベネチアングラスに彩られたカラフルなフルーツが置かれ、これに比べたら鮮やかさのない地上にある大窓のフルーツは色がないそうです(完全な知恵というのは人間には無理ということを現している)。
サグラダ・ファミリアは「石の聖書」と言われていますが、人々が教会を見上げて屋根の上に輝くフルーツを仰ぎ見るときにどう思うか、とういことをキリスト教的に考えているのですね。教えてもらわないと「なんでフルーツ???」としか思えませんが、一つ一つの彫刻に深い意味があるのです。
また、サグラダ・ファミリアは、地に近いところには昆虫や両生類が、高いところには鳥や天使が、さらに高いところには象徴としての使徒や聖母マリアやキリストがいますが、地上に近いところにてんとう虫発見しました!
てんとう虫は、英語やドイツ語だとマリア様の虫、と言うらしいし、きっと何か意味があるんでしょうね。そのしたのミミズにもたぶん意味があるのでしょう。わからないけど。
このように書きだすとキリがないくらい、サグラダ・ファミリアはすごい建築物でした。特に、教会全体が楽器、というのが凄いですね。これを構想したガウディもすごい。フジファブリックでいったら、さしずめテーマソングは「理想型」でしょうか。
2026年完成というのはちょっと信じられないんですが、生きてるうちにまた来れたらいいな、と思う建築物です。
【旅の参考情報】
- チケットは以下の公式サイトから予約できます。予約すると、ほとんど待たずに入れます。英語ですが、いろいろなサイトにガイドがあるので、とても簡単に予約できます。
- 塔に上るエレベーターは二つあります。「受難の門」側のエレベーターに乗ると下りもエレベーターです。「生誕の門」側のエレベーターに乗ると、下りは階段です。高所恐怖症の人はやめたほうが無難な階段です。