彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

【まだまだうたう】山内総一郎弾き語り@WILD BUNCH 2015

8月22日(土曜日)に山口のきらら博公園で行われた夏フェス、WILD BUNCHでの山内総一郎の弾き語りのレポです。

 

MC:ひょっこりひょうたん島

2013年に奥田民生さんがこのステージで演奏したとき、「この場所、普通だったら心折れるよ~」と言ったとか、言わないとか。風向き次第で、このステージには、対岸からの声が全く聞こえないようです。

しかも、今日のステージは夜。

総君も、最初は、対岸に人がいるのかいないのかさえ、全くわからなかったのではないでしょうか。ときどき、STARで「星が見えそう」と歌うときにやる仕草(目の周りを両手で囲む)をしていました。

 

「皆さん、今日は、もう好きなアーティストのステージとか見てきたんですか?」

 

いやいやいや。

あなたのステージを観るために、はるばる東京から飛行機乗って来ましたよ!

そう心の中で強く突っ込みましたが、対岸まで響く大きな声を出す勇気がない私。

 

「無視か・・・・・」

 

ちがうよ!ちがう!

そしたら、近くにいた男の人が、大きな声で「今見てるーーー!」と言いました。

この声は届いたみたいで、総君も「おっ」と嬉しそうに、こちらを指さします。

 

その後、数曲やった後に今度は、「そのひょっこりひょうたん島みたいなののせいで、全然見えなかったけど、俺も目が慣れてきて、見えるようになった!」と言っていました。奥に明るいものがあると、手前の暗いところは、目が慣れるまで見えにくい。

総君が「ひょっこりひょうたん島」と言っていたのは、おそらく、on the sea stageから正面に見える多目的ドームでしょう。

 

f:id:ManamiSinging:20150826091449j:plain

 

本物の「ひょっこりひょうたん島」はこちら。

f:id:ManamiSinging:20150826091628j:plain

 

「ひょっこりひょうたん島」は、NHKで1964年から放送された子供向けの人形劇です。総君が生まれるずっと前にやってた番組なんですが、総君はときどき、こういう昭和な香りのする発言をしますよね。純喫茶好きだし、1980年代の音楽も好きそうだし、懐かしい時代のものが結構好きなんでしょうか?

 

いずれにせよ、「ひょっこりひょうたん島にいるのはアナタです」と、心の中で突っ込ませて頂きました。

 

まだまだうたう

5曲目は、小沢健二の「僕らが旅に出る理由」です。

 

心がわりは何かのせい?あまり乗り気じゃなかったのに

東京タワーから続いてく道 君は完全にはしゃいでるのさ

 

ふんわりとした、やさしい歌い出し。今回、弾き語りだからか、特に思ったのは、山内総一郎氏は、本当に丁寧に歌をうたうということです。まるで壊れやすい細工をそっと手で持ち上げるように、大事に、大事に歌います。角のない声質であることもあわさって、曲のイメージが新しくなっていきます。カバーは歌い手の個性がでますが、これが山内総一郎氏の個性の一面でもあるのだろうなと感じました。

 

「僕らが旅に出る理由」は、オザケンの歌のなかでも、私も特に好きな歌です。若いころの生意気で尖ってるオザケンのイメージからか、この曲の出だしの時に浮かぶのは、「東京タワーを右手に眺めながら、首都高を赤いオープンカーで飛ばして美人の彼女を空港まで送るオザケン」だったのですが、総君が唄うと、どちらかというと、窓辺の机で長い手紙を書いているシーンが思い浮かびました(総君はオープンカーではないよね・・・・)。

 

そして毎日はつづいてく

丘を越え僕たちは歩く

美しい星におとずれた夕暮れ時の瞬間

せつなくてせつなくて胸が痛むほど

 

総君が作詞作曲した「LIFE」の歌詞と、ちょっとイメージが共通していますね。人生のありふれた日常の中にふと訪れる、心の震える瞬間。

 

そして6曲目は・・・・ギター山内総一郎が、じゃかじゃか激しく、アコギを鳴らし始めた!「虹」だ!

 

週末 雨あがって 虹が空で曲がってる

グライダー乗って

飛んでみたいと考えている

調子に乗ってなんか

口笛を吹いたりしている 

 

「虹」って、キーボードバリバリの歌なのに、なぜかアコギ一本でも、違和感なく豊かなメロディーが流れてくる不思議。いったいあのギターは(そして総君の手は)どんな仕組みなんでしょう。

この曲は、ギターアレンジが素晴らしかったです。原曲を知っているだけに、こんな風になるんだ!という驚きが強かったですね。総君も演奏にノリノリになっているのがわかります。

あまりに嬉しくて、やる時いつも少し気恥ずかしい、「もーうーそーらーがー、もーちーあーがーるーーーーー」のフリも、ちゃんと総君に合わせてやりました。ステージの上の総君からも、見えていたらいいなと思いながら。

 

アウトロになるにつれ、さらにギターは烈しさを増していきます。そして山内総一郎がステージの前方に出てくる!嬉しいけど、照明が当たらないから、影絵みたいなシルエットになっていました。

 

7曲目は、夏の終わりに相応しい曲、「若者のすべて」。

 

真夏のピークが去った 天気予報士がテレビで言ってた

それでもいまだに街は 落ち着かないような 気がしている

 

ここでも、やわらかに、まるい歌い出し。

いつまでも聴いていたい、きもちいい声の伸び。

フェスから帰っていく人たちにも、この歌が聴こえているかなと思いながら、耳を傾けます。

 

時間との闘い

さて。

この時点で、9時15分。広島行きシャトルバスの出発時刻は、9時30分。砂浜からシャトルバスの発着所まで、結構距離があります。加えて、この人ごみ。

周りでは、アンコールの拍手が鳴っています。

アンコール!

心のリングが鳴る瞬間です。

 

天使「シャトルバス、出ちゃったらどうするの。アシ、ないよ」

悪魔「新山口から広島まで、新幹線にのればいいジャン!」

天使「シャトルバスは事前にチケット購入しないとダメなんだから、新山口までのアシがないでしょ」

悪魔「タクシー拾えるかもよ!」

天使「この状況でありえないでしょ。そしたら、野宿だね、野宿」

悪魔「それもいいジャン!」

天使「あほ。年齢考えろ」

 

アンコールをとるか、バスをとるか。

神様、どうして私にそんな選択をさせるのですか。

 

その時、総君がさくっと戻ってきて、「そんなレパートリーないんだけど・・・・」と前置きしたうえで歌い始めたのは、「sing」。

しめた!短い!(不純な心でごめんなさい)

 

君がいるから

僕は歌う

ララ ラララララ ラ ってね

ああ

 

もう完全に、「君をおもい」じゃなくて「君がいるから」が正しい歌詞になっていました。

 

そして、ステージが終わり、余韻を感じる暇もなく、私とYさんは、シャトルバス乗り場に向けてダッシュ。恥ずかしいくらいダッシュ。この時点で9時22分。久しぶりに激走した結果、無事、9時29分、広島行きのシャトルバスに間に合いました。

 

(まだ続く)