彼方の音楽

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「夢みるルーザー」 バンドを転がせ

山内総一郎氏は、ライブやインタビューなどで、「曲がどんどん、できちゃって、できちゃって・・・・んなわけあるか~い」「かるーくこなしてるように見えるかもしれないけど、ホント、いっぱいいっぱいで」などと口にしている。

 

軽いタッチでこなしているようで

ホントんトコはいっぱいいっぱい 

 

「Green Bird」がフジファブリックのこれからの新しい可能性を示した曲だとしたら、こんなで出して始まる「夢みるルーザー」は、フジファブリックの「今」を切り出した一曲だと言えるだろう。

 

ミニアルバム「BOYS」収録、作詞作曲は山内総一郎。

 

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夢みるルーザー

夢みるルーザー

 

  

 ツアー中に撮影されたと思われる「夢みるルーザー」のMVは、メンバーの演奏シーンだけで構成されている。着ている服も、ライブのときと同じ衣装で、まさに、はじまりましツァーの最中の彼ら、そのままの姿だ。ギターリフが印象的な軽快なイントロで始まり、疾走感あふれるリズムのまま駆け抜けるように山内総一郎が歌う。

 

 

ルールばっか気にしちゃダメよ

本音はどこに?実際問題さぁ?

青臭いと笑われたって

足を止めたら急転直下

 

2011年から、走りっぱなしのバンドである。アルバムを3枚、シングルを7枚(含むFAB STEP)出して、ライブを数えきれないほどやっている。休日らしい休日は、ほとんどなかったのではないか。でも、「足を止めたら急転直下」という思いで、まさに転がる石のように、走り続けてきたのだろう。

 

A  rolling stone gathers no moss.

転がる石に苔は生えない。

 

この諺は、イギリスでは「落ち着きなく動いてばかりいると苔も生えない(だから落ち着け)」という意味で、アメリカでは「活発に動いていないと苔が生えてしまう(だから動け)」という意味で、捉えられているという。苔はイギリスではプラスのイメージ、アメリカではマイナスのイメージがあるのかもしれない。変化を好ましいと思うのであれば、後者の意味となる。

 

感動関心夢みてLOSER

このままSOULすり減らし行けそうだ

伸ばして捕まえるんだ

見えなくても

照らす光なら全部ここにあるぜ

 

掛け言葉なのだろうが、靴底のソールのスペルはsoleなので、ここでは、魂(soul)という意味になる。まさに魂をすり減らして、ギリギリの思いと体力で、フジファブリックは転がり続けているのである。

 

そうまでしなくてはならないのか?と思う人もいるかもしれないが、そうまでしなくてはならないのだ、きっと。やらなくては後悔するから。捕まえたいものがその先にあるから。

 

愛されたいなら捨てようぜ

ドキドキしたいから

さあ

 

ここで捨て去るのは何だろうね?

音楽の神様に愛されたいなら、手放さざるを得ないものもあるのだろう。

でも引き換えに、ドキドキする未来が待っているのだ。

 

 

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