indigo la endとゲスの極み乙女という二つのグループでボーカルを務める、川谷絵音氏は、きっとすごくセンスのいい人なんだろう。音楽だけじゃなく、多方面において。「悲しくなる前に」のMVを観てそう思った。
演じてる風を装っていた私は
なけなしの感情を拾い上げた
「あなたはもういなくなったのね」
と呟いて心を押しやった
音数は決して多くない。
絡み合うギターとベースに、ボーカルの、ちょっとかん高い声がメロディアスに乗っていく。新しく加入したというドラムもいい。
ああ、自分の語彙の少なさが呪わしい。
なんですかねこれ?
indigo la End「悲しくなる前に」 - YouTube
悲しくなる前に
あなたを忘れちゃわないと
無理なの分かってるの
と夜更けに向かって走った
涙が枯れたらさ
またあなたを思い出すの
触れるか触れないかで
心臓が揺れるよ
抉るような声で
また呼びかけてよ
強がりと弱気が振り子のように交差して。
でも、この悲しみは私だけのもの。
今は好きなだけ泣かせてほしい。
夜の帳が下りたら私は
何度も忘れたあなたの前で
夜の帳が下りたら私は
泣き笑いしながら名前を呼ぶの
夜が来るたびに繰り返すのだ。
しばらくは。
そう、しばらくは。
MVの後半、桜井ユキが泣き出す。
その顔がいい。
女の顔をしている。
「愛されてたんだよね?」
問いは空を切った
意味のないことだとわかっていても、どうしても言いたくなってしまう。
でも答えてくれる人は、記憶の中にしかいないのだ。