7月10日は、志村君の誕生日でした。
もう日がまわってしまったけれども、お誕生日おめでとう。
彼の故郷の富士吉田市ではこの時期、防災無線のチャイムが「若者のすべて」になり、7月11日には下吉田一小の体育館で、ライブ映像の上映会があります。
これだけ多くの人が今も彼の音楽を愛し続けているということに胸を打たれるし、それなのに今はもう彼の新しい音楽を聴くことができない悲しさは、やはり拭えません。You Tubeの画面の中では生きいきと歌っている彼が、現実には居ないことが信じられなかったり。
普段は、悲しくなるので上手に志村君の歌声を聴けないことが多いのですが、今日はお誕生日ということで、「眠れぬ夜」を聴いています。
アルバム「MUSIC」の最後の曲であり、作詞作曲は志村正彦。
- アーティスト: フジファブリック
- 出版社/メーカー: Sony Music Associated Records Inc.
- 発売日: 2013/10/23
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また今夜も眠れぬ夜になりそうな気がした
部屋の壁の色褪せ方が気になる今日この頃
ピアノのイントロが美しく、映画音楽のような趣があります。
心の深いところにひっそりとある森の、さらに奥に導かれていくような感じを覚えます。志村君のほかの曲と同じように、歌詞は具体的なことを語っていないのに、聴いた人はそれぞれ、自分の物語を喚起され、思い描くのです。
眠ることができず、天井や壁をじっと見るしかなくて、いろいろ考えてしまう孤独な夜。
もういいだろうと意味は無くとも
君の声を聴きたくなる
この「君」が誰のことなのか、男なのか女なのか、わからないけれど、孤独な夜の中で、手を伸ばして触れ合いたいと思う誰かが、彼にはいて。
そしてできれば何より君に先ず
伝えたい事がある
嫌がられる程何もかも
さらけてしまえたらいい
歌詞から思い浮かべる人物が、現実の志村君と重なり、自分と重なる。
「伝えたい事がある」 つまりまだ伝えられていない。
「嫌がられる程何もかも」 つまり全部さらけだしたら嫌がられるんじゃないかと思っている。
「さらけてしまえたらいい」 現実にはなかなかできない。
否定されるのが怖くて、受け入れられないことが怖くて、なかなかさらけだすことができないけど、でも本当は強く、自分を表現したいと思っている。
「蒼い鳥」で「可能なら さらけてしまえたらいい」と歌い、「バウムクーヘン」で「誰か僕の心の中を見て 見て 見て 見て 見て」と歌った志村君。音楽を通じてもう既に、かなりハッキリとセキララにさらけだしているんじゃないの、と思ったりもするのだけど、彼にとっては、こんなもんじゃ足りなかったのかな。もっともっと、自分の中にあるものを、外に出していきたかったのかな。
時を経ても決して色あせることのない、ベーッシクで心に響く曲です。