彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

岩明均「ヒストリエ」9巻 まるで映画。エンニオ・モリコーネの音楽が(なぜか)聴こえる!!

このブログは音楽についてだけ語ろうと思っていたんですが・・・・。

ですが!

あまりにも素晴らしい巻だったので方針を変えました。ときどきコミックについても語ることにします。現代日本を牽引するポップカルチャーというくくりで良しとしよう。自分のブログだしね!

 

ヒストリエ(9) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(9) (アフタヌーンKC)

 

 

傑作「寄生獣」で有名な岩明均が描く、アレクサンダー大王の書記官エウメネスの生涯。

 

そもそも歴史ものを描くのは、時代考証という点でも大変なのである。それなのに古代マケドニアである。さらにアレクサンダー大王ではなくその書記官である。こんな題材を選ぶ時点で、チャレンジャーすぎるのに、よくぞ想像力でここまで埋めたものである。これ、翻訳して世界中で出版して欲しいよ。

 

この9巻は特に胸熱です。アマゾンのレビューでも早くも絶賛の嵐。私も同感です。

 

この先はネタバレ雑談。

 

 

・いやー、カロン、あの去り方からしていつか出てくるとは思っていましたけど、こういうことでしたか!登場するまで、全く予測がつきませんでした。

 

その脚で地平線の先へ駆けてゆくも

あるいは大兵を率いてこの地に攻め来るも

すべて自由ぞ!

わが息子よ!!

 

「自由」「息子」この言葉の重みは、かつての物語があってこそ。素晴らしいです。ちなみに脳内ではこのシーンで音楽が、なんかカッコいい感じの映画音楽的音楽が流れました。

 

・エウメネスは岩明均史上(といっても寡作ですが)、最もカッコいい主人公ですね。過去の壮絶さ、背負ってるものの重さが、時々彼のまなざしに凄みを与えているじゃないですか。具体的にいうと20頁の最後のコマとか、114頁の最後のコマとかね。普段はむしろ優男だから、その落差にグッときます。シビレます。

 

・ラスト、アレクサンダー大王が相変わらず、イっちゃってるシーンを見せてくれそうで楽しみです。

 

・「チェーザレ」と同様、物語が完結するまで死ねない。