彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

「ECHO」 歌うことの原点

アルバム「STAR」収録の一曲。作詞山内総一郎・加藤慎一、作曲山内総一郎。シングルカットはされていないけど、MVは作られている。

 

ECHO

ECHO

 

 3名体制でのフジファブリックのライブとしては初となったROCK IN JAPAN 2011で、最後の曲として披露された。その様子はYou Tubeにもアップされている。 

 


F U J I F A B R I C Document 2010-2011 3 - YouTube

 

「その曲は自分しか歌えないだろうなってなんとなく思っていたんです」

 

あれからね 色んなことが沢山起こってさ

一人ではなんかどうしようもないことなんだ

 

ただ時間は進む地球は回る いつものように

 

志村を失った喪失感を共に抱いてきたファンには、この出だしだけで、何を歌っているのかが伝わる。そう、大切な人を失っても、日常は進んでいく。

 

もう何もかもが胸の奥に溢れてくるよ

 

離れていたって届くように

今ありったけの想いをのせて君に 君に捧ぐよ

 

パーソナルな体験の表現が、普遍性をもち、共感を呼ぶことがある。歌は脳髄を通ってダイレクトに生理を揺さぶり、メッセージを伝える有効なツールだ。

 

どこまでいってもそう、続いていくものなんだ

立ち止まってみたりしても

考えてもそうだ 答えはどこにもないよ

それでもいいんだって思えるよ

 

この時から3年後にフジファブリックは「LIFE」というアルバムを出すことになるが、流れていく時に対する受け止め方というか、人生観のようなものはこの頃から既に曲に表れていたんだなと思う。

 

情けないくらい声からして

そうさ街の音にかき消されないほど強く鳴らせるなら

離れていたって届くように

 

「それまで感じたことのないような、聴いてくれている人が自分の歌にすごく集中して聴き入ってくれているという状況が、自分にとってはちょっと、人生観というと大げさかもしれないですけど、変えられるくらい。やっぱり音楽をやることは尊いものだなって感じましたし、歌うことの重要さというのもお客さんから教えて頂いたんじゃないかと思いました」(Document 2010-2011〔山内総一郎〕)。

 

志村のあとに、フジファブリックのフロントマンとして歌うことについて山内総一郎氏には相当の逡巡があったはずだし、2014年のダヴィンチのインタビューでは歌うことが「やっと楽しくなってきた」と言っているくらいだから、しばらくは辛いことのほうが多かったのかもしれない。それでも彼が歌い続けた原点は、この曲にあるのだろう。

 

楽曲それ自体のメロディーの持つ美しさと、想いの強さ、言葉の力が一つになった、この時点におけるフジファブリックが提示しうる全てが示された一曲。