アルバム「STAR」に収録の一曲。作詞金澤ダイスケ・加藤慎一、作曲金澤ダイスケ。チャンダイ先生作曲だけあって、リズムを刻むピアノがとても印象的です。軽快なのに切なく、切ないのに弾んでいる。このバランスはとても金澤ダイスケという人らしいと感じる。
- アーティスト: フジファブリック
- 出版社/メーカー: Sony Music Associated Records Inc.
- 発売日: 2013/10/23
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アルバム「STAR」のなかでは、「STAR」「ECHO」とこの「スワン」が、当時のメンバーのパーソナルな想いをくっきりと反映している。
どんな表情してたのかわかっていたけど
気付かない振りをする事にしたんだよ
どんな表情をしていたのか?
傷ついた顔なのか、それとも気の浮かない顔なのか。それによってストーリーは変わってきそう。
単純にかわす会話無理にこじらせて
「訳もないよ」って筈がないよ
呆れてもいないけど
いずれにせよ、二人の間には触れるに触れられない何かがある。
たくさんのこれからを待っている事にしたんだ
書きかけの手紙だけどそのままを送り出すよ
未完だけどそのまま受け取って欲しい。
それが今の僕たちにできる唯一のこと。
手紙の名宛人は誰なのか。
対岸遠く並ぶ 色の淡い建物を
軽く横から押せばドミノ倒しが出来そう
なんて違うそうじゃなくて
一緒に歩いた川沿いの道 歩いてるとふと思い出す。
なんて言ってたっけな、あの時君は。
真っすぐをむけばもっと難しく考えないで
後回しになってもいいよそのままを受け取るよ
道はどれが続くのかわかるのなら簡単だ
でも選ぶ楽しみがなくなると嫌だよね
「STAR」で初めて作詞をすることになったメンバーの見守り隊員を引き受けた、真心ブラザーズの桜井秀俊は、「彼らは人がグッとくるような場所にすでに立たされているわけだから、それを素直に・・・・・・素直になるのが一番難しいんですけど、作詞作曲に関係なく、それを言葉にしていけばよかったんです。だから、『うまいこと言わなくていいし、うまい一言なんてむしろ聞きたくないよ』ってことは当初から言ってましたね。」と語っている(ナタリーインタビュー)。
そのとおり、メンバーの素直な心情が綴られていて、川沿いの土手の上、まだ冷たい風に吹かれながら、やるせない思いのまま、でも一歩を踏み出す彼らの姿が立ち上がってくる。
また、「後回しになってもいいよそのままを受け取るよ」というところを、加藤さんから総君へのメッセージと捉えると、それはそれでまた味わい深い。ちなみに、加藤さんの描く詩は、とても山総氏の声質に合っているような気がする。加藤さんが、山総氏のほうを見ながら、歌詞を書いているからかもしれない。
ところで、「スワン」という曲名は、「白鳥って秋から冬にかけてやってくると思うんですけど、この曲の持つ季節感とか、やってきては何かを運んで連れ去っていくような、そんなイメージから”スワン”というタイトルが浮かんで付けてみました」とのこと(アルバム「STAR」ライナーノーツ〔by 大ちゃん〕)。
確かに、最初は「白鳥でてこないのにどうして?」と思ったけど、聞いているうちに、ピッタリの題名に思えてきました。こういうところ、チャンダイ先生のセンスってすごい。