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彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

「STAR」 再生のビックバン

3人体制になってから初めてのアルバム「STAR」のタイトルトラック。作詞山内総一郎・加藤慎一、作曲山内総一郎。今でもLIVEの最終曲として演奏されることの多い、現在のフジファブリックにとって重要な意味を持つ一曲。 

 

STAR

STAR

 

 

2009年12月にフロントマンだった志村を失ってから、メンバー3名は喪失と再生の物語を歩んでいくが、その道程は螺旋状である。時に振り返りながら、一歩一歩、足を進めている。その最初の推進力となったのがこの曲である。

重厚なギターリフが印象的なイントロは、途中でテンポを上げ、のびやかな歌声を導く。

 

「ヨーイ」の合図で踏みしめた

飛び出すのならここからだ

ハートの鐘が一つ鳴れば

さあ進むのさ

 

「あの曲は、何かが作られる前の、最初の爆発みたいな曲だなって思うんですよね」「ず~っと高いキーで歌ってるんですよ。今だと『お前うるせえな!』って感じがするんですけど(笑)、でもそのときはこれしかない!と思っていた。それは、それだけ爆発だっていうことを伝えたかったのかなって思います」(ダヴィンチ2014年8月号)

 

疾走感溢れるナンバー。ライブでは、白く輝く光の洪水みたいな照明が使われることが多い。それが実によく曲にあっていて、新星の爆発に立ち会ってるみたいな気分になる。

 

君の声はこだましてる

頭の中離れないよ

巡る思いは置いといて

さあ行きますか

 

ちなみに、「Light Flight」にも「悲しい歌 消えないから 耳を塞いで歩き出した」という歌詞がある。ボーカルを受け継ぐことになった山内総一郎の頭の中では、今でも志村の声が時に響くのかもしれない。そんな中でも、こんな光に満ちた雄大な曲がつくれるのだから、このメンバー3名には、「体力」があったということなのだろう。体力がなければ坂道は登れない。

 

こんなに近いのに

遠くもあるのだな

 

「志村のことは思い出すって感じじゃなく、常にそこにいるんですよ」(アルバム「STAR」ライナーノーツ〔金澤〕)

 

メンバーにとって志村は傍にいる存在で、でも同時にその不在も否応なしに思い知らされるわけで。彼らはミュージシャンだからその気持ちを曲で表現する。

 

アルバム「LIFE」の「sing」という曲には、「☆がいない夜に歌う ああ それしか出来ないじゃないか」という歌詞がある。この☆は志村のことを指していると受け取る人は多くいるだろう。

 

こんなモチーフに彩られながらも、この曲はまっとうに力強くて明るいし、フジファブリックのカラーも基本的には生きる力に溢れている。メンバー3名の人柄、生き様によるところが大きいだろう。そんないわばバンドとしての色合いはすでに、この曲のときに確立していたのだ。