アルバム「LIFE」に収録された一曲。作詞作曲山内総一郎。6/8拍子の繰り出すビートと、これにのったオルガンと、歌詞がうまくマッチした一曲。
「LIFE」というアルバムは、山内総一郎氏がファミレス総一郎となって書き溜めた詩がまず先にあり、 これが弾き語りができるようになった段階で、メンバー3名で集まって曲のカタチにするというプロセスで制作されたという。
そのためか、これまでより格段に歌詞が「深く」なっているし、歌詞と曲の世界観がピタリと一致している印象を受ける。なかでも、この「カタチ」は、言葉だけでもダメで、曲だけでもダメで、歌詞と曲が一体となって、心に残る切なくて懐かしいナンバーになった。
それなりに忘れられないことも
どれくらい好きという感情も
この目で見えたとしたら
色や形を見る事ができるのなら
ずっと大切にできただろうか
ずっと近くにいれただろうか
ストレートで捻りもない言葉だけど、曲と一体となって説得力を持ち、心の中に響いてくる。やっぱりこの人は自分の想いを自分の言葉で歌うときが一番いいな、と思う。人の作った楽曲を素晴らしく歌いこなすシンガーもいるけど、この人は少なくとも現時点ではそういうタイプではなく、自分の素直な気持ちをストレートに歌い上げる時が、一番「届く」。
気付かずに通り過ぎてしまった
変わらない君がくれた優しさも
暗闇で伸ばしたこの手で
温もり感触掴めたのなら今度は
そっとしまっておくのだろうか
また潰してしまうのか
個人的には、この「また潰してしまうのか」というところがグッときます。その手で「優しさ」を握り潰しているシーンが浮かぶから。
「『もし、あの時、ああしていたら、どうなっただろう?』と思うことは誰にでもあると思うんですけど、時にはそういう思いに身を任せるのもいいんじゃないかと肯定する歌です」(アルバム「LIFE」ライナーノーツ〔山内〕)
時の流れに身を任せ、思いに身を任せですね。
経験した分だけ、人の想いに気付けるような自分になっていたいと、思う今日この頃です。