イントロの跳ねるようなピアノは、チャンダイ先生が中学2年生の頃に手癖のように弾いていたというもの。これから何が始まるんだろう?という予感でワクワクさせる。アニメ「銀の匙」2期のオープニングソング。一言でいうと、極めて完成度の高い一曲。
作詞作曲は山内総一郎。「徒然モノクローム」といい、「ブルー」といい、フジのアニメタイアップの曲は、どれも良くできている。この作品も、物語の世界観とフジファブリックの心情とがうまい具合に混ざり合って、ポップなサウンドにのっており、素晴らしいバランスです。
ちっちゃいころに思ってた 未来の姿と今はなんだか
違うようだけれどそれもいっか
僕は旅に出たんだよ 雨の日も風の日もあるけど
大切な何か知りたいんだ
アニメ(原作はマンガ)「銀の匙」の主人公は、受験に失敗して農業高校に入学します。また、山内総一郎は幼い頃はプロサッカー選手を目指して高校もサッカー推薦で入学するほどでしたし、その後ギタリストとして生きていこうと思っていたはずが今はフロントマンになっている。人生とはわからないものであります。
見慣れていた景色さえも輝いてた
「いつまでも忘れない」 そんな事思う日がくるかな
風に揺れた君の髪の匂いだとか
ありふれたこの一瞬 僕はまた今日も探してる
なんてことない風景が、後から思えばかけがえのない一瞬だったと思い返す時がくることもある。
やっぱり僕ら思っていたよりも
簡単にはいかないから
一人きりでいればそれでいっか
でもでもやっぱ寂しいな 強がっていてもなんだか
どうしたらいいの?教えてよ
実に素直な言葉たちです。山内総一郎氏、「オトナのフェス」で「教えてくれよ!」って叫んでいたし、Live at 武道館でも、アンコールで一人でsing歌った後に「一人はさみしいな~ みんな早く来てくれ~」と言っていたし。寂しがりか!
LOVE ME
言葉だけじゃどうも伝えきれないけど
LOVE YOU
少しでも君に届いたらいいな
このあたり、「銀の匙」から離れてきました。山内くんはやっぱり、楽曲で届けたい人なんですね。あと口べた?
雨上がりのグラウンドを駆けるような
溢れ出すその一瞬 気づかずに通り過ぎて
戻らない日々に手を振って行くのさ
今日も続いてる
特別な何かがあるわけでもなくて、でも輝いてる「LIFE」の一コマ。ほんのりと小沢健二の世界観を感じます。オザケンの「LIFE」も名アルバムでした。ちなみにフジファブリックは「僕らが旅に出る理由」(名曲!)をカバーしています。「旅」というキーワードも、近年のフジファブリックの歌詞にはよく出てきますね。アルバム「Voyager」も航海という意味でした。
「生きる」「生活」「生命」そんなコトバをまさに歌とメロディーで表現している曲。ギターによるリフも軽快でありながら技を感じさせ、聴いていて楽しい。
ちなみにフジファブリックでは山内氏とチャンダイ先生がフットサルチームに入っています。弱いらしいけど。