彼方の音楽

毎日の中でこころ動かされたことを、つらつらと綴っていきます。

「ブルー」 想いを上手に伝えられない

私が今のフジファブリックを好きになった切っ掛けともいえる曲。

美しい、でも少しさみしい(まさに人気のないプールサイドみたいな)ピアノのイントロに導かれ、はじまるのは、何かの帰り道、「まとめた言葉」は単純なのに、「君」に思っていることをうまく伝えられなくてモヤモヤする男子高校生(か、またはほかの誰か)の物語だ。山内総一郎の声は、こういった淡々とした、でも少し切ない感じの曲に、実によく合う。

 

ブルー/WIRED

ブルー/WIRED

 

 

ちなみに、ラジオで披露している弾き語りも超オススメである。彼の唄いっぷりに胸を打たれる。目の前で聴いてみたい・・・・。

 

 


SkyrocketCompany 2014.9.3 特別講師:フジファブリック(山内総一郎、金澤 ...

 

 

この歌は、女子高生を主人公にした青春少女マンガを原作としたアニメ「アオハライド」のエンディングテーマでもある。きちんと原作のマンガを読んで曲の雰囲気を整えただけあって、かなり「青春」している。

 

夕立残っている街の中 それじゃまたねと小さく振るよ

改札の先、目で追いかけて 期待通りにはなかなかね

 

想いを残しつつも、いつもと同じように、さよならしてしまう二人。

 

臆病だけど冷めない心

乗り過ごして気づくんだ

今日もまた

 

レールは君を運んで行くから

いつも同じ見飽きた帰り道

まとめた言葉 単純なのにな

いつも上手く言えないのはなんでだろう

  

上手く伝えられない、言葉だけでは届けられない、そういったメッセージが山内総一郎の詩には頻繁に出てくる。割とストレートな人のように見えなくもないが、本人的には、ジレンマを抱えることがよくあるのかもしれない。確かにMCはわりとグダグダになりがちで、しゃべるのは得意ではないのかもしれないが、「届けたい」「伝えたい」という姿勢はいつも強く感じられる人である。

 

この曲は、とにかく、いろんな意味で山内総一郎という人そのものがよく出ている。淡々と始まった曲は、同じリズムを刻みながらも、だんだんと盛り上がっていく。

 

開く前に答え合わせ

大きくなる踏切の音

さわぐ さわぐ胸の中を

見せる事ができるのならどうなるんだろう?

 

「僕」と「君」を隔てる踏切の音と重なるように、心の中に溜まった想いが膨らんでいく。胸をそのまま開いて、想っていることをそのまま「カタチ」として見せ合うことができれば、こんなにざわめかなくてもすむのに、と「僕」は思う。でももちろん、そんなことは出来はしないのだ。

 

この曲は、シングルと異なりアルバムバージョンには長いアウトロがあって、激しいギタープレイが印象的である。いわく、「上手く伝えられないときの、モヤモヤした感じ」を表現しているとのことであるが、心の内がこんな風だとすると山内氏は大変だねえ・・・・と思ってしまう。それくらいすごい「モヤモヤ」感である。曲が途中で転調して様子を変えるのはフジファブリックの一つの形式であるが、この曲もイントロとアウトロの差が激しい。抒情的に始まり、懊悩で終わる、そんな曲である。